三菱デリカD:5をベースにした新しいバンコンキャンピングカー「NOCTI(ノクチ)」が、2026年7月11日(土)・12日(日)に東京ビッグサイトで開催された「東京キャンピングカーショー2026」で初公開され、同日から発売が始まりました。手がけたのは、新潟県燕市のキャンピングカー専門店・加藤モーター。三条三菱自動車販売とのコラボレーションによって生まれた、「普段使いできる本格車中泊モデル」です。
四輪駆動の走破性で知られるデリカD:5を土台にしながら、外観は純正ボディをほぼそのまま維持。それでいて車内はフルフラットの就寝スペースへと変身する——そんな二面性が、発表直後から車中泊ファンの注目を集めています。この記事では、公開されたばかりのNOCTIについて、価格・グレード・スペック・装備・車中泊性能を、公式発表と各種報道をもとに整理します。SUVベースの車中泊車を検討している方が、購入判断の第一歩を踏み出せる情報をまとめました。
NOCTI(ノクチ)とは|デリカD:5ベースの新型バンコン
NOCTIは、加藤モーターが三条三菱自動車販売と共同開発した、三菱デリカD:5ベースのバンコンバージョン(通称バンコン)です。バンコンとは、市販のワンボックス/ミニバンをベースに、外観を大きく変えずに車内を架装したキャンピングカーのこと。キャブコン(トラックシャシーに居住空間を架装したタイプ)に比べて全高が低く、日常の買い物や通勤にも使いやすいのが特徴です。
NOCTIの最大のポイントは、そのベース車両に「デリカD:5」を選んだこと。デリカD:5は、ミニバンの居住性とSUVの悪路走破性を併せ持つ、国内では希少なキャラクターの1台です。その素性を活かし、「週末は本格的な車中泊、平日は普段の足」という使い方を一台で完結させることをコンセプトに掲げています。初公開の舞台となった東京キャンピングカーショー2026は、国内最大級のキャンピングカーイベント。新型モデルのデビューの場としては最高の注目度で、NOCTIは発表初日から発売がスタートしました。
スペック早見表|デリカD:5の素性をそのまま活かす
まずは公表されている基本スペックを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車名 | NOCTI(ノクチ) |
| ベース車両 | 三菱デリカD:5(P・ディーゼル・4WD) |
| エンジン | 2.2L クリーンディーゼルターボ |
| 駆動方式 | 全車4WD(S-AWC装備) |
| 乗車定員 | 5名 |
| 就寝定員 | 2名 |
| 全長 | 4,800mm |
| 全幅 | 1,815mm |
| 全高 | 1,875mm |
| 発売日 | 2026年7月11日 |
| 製造・販売 | 加藤モーター(新潟県燕市) |
注目したいのが全高1,875mm。多くの立体駐車場やコインパーキングは全高2,000mm前後を上限とするため、車中泊車でありながら日常の駐車環境で困りにくい高さに収まっています。全幅1,815mmも国産ミニバンとして扱いやすいサイズ感で、「特別な車」ではなく「毎日使える車」に軸足を置いた設計思想が寸法からも読み取れます。
グレードと価格|NOCTI SLとNOCTI Mの違い
NOCTIには2つのグレードが用意されています。
- NOCTI SL(基本グレード):604万4,500円(税込)
- NOCTI M(上位グレード):824万4,500円(税込)
両グレードの価格差は約220万円。この差額の中心となるのが、上位のNOCTI Mに標準装備される電装システムです。NOCTI Mには600Ahの大容量リチウムイオンバッテリーと12Vクーラーが標準で備わり、走行充電・外部充電にも対応。電子レンジや冷蔵庫といった消費電力の大きい家電も使える構成になっています。
一方の基本グレードNOCTI SLは、就寝スペースを中心としたベーシックな構成。まずは車中泊できる寝床と快適な室内空間を確保し、電装は必要に応じてオプションで追加していきたい、という考え方の人に向きます。夏場のエアコン運用や家電の常用を最初から重視するならNOCTI M、コストを抑えて車中泊の基礎から始めたいならNOCTI SL、というのが大まかな選び分けの目安になります。
デリカD:5ベースだからできる車中泊

NOCTIの個性は、ベース車であるデリカD:5の走行性能と直結しています。
4WD+S-AWCによる悪路・雪道への強さ
NOCTIは全車が4WDで、三菱の車両運動統合制御システム「S-AWC」を搭載します。S-AWCは、4輪の駆動力やブレーキを統合的に制御し、さまざまな路面でのコントロール性を高める仕組みです。これにより、雪道や未舗装路、林道のような舗装が途切れる場所へのアクセスがしやすくなります。
キャンプ場や車中泊スポットは、必ずしも舗装された平坦地ばかりではありません。海沿いの砂利地、山間部の未舗装林道、冬場の雪道など、一般的なミニバンベースの車では入っていきにくい場所も少なくありません。デリカD:5の悪路走破性を受け継ぐNOCTIは、こうした「もう一歩奥」の目的地まで足を延ばしたい車中泊ユーザーにとって心強い相棒になり得ます。ただし、悪路走行時は路面状況や天候を十分に確認し、無理のない運転を心がけることが前提です。
クリーンディーゼルによる長距離適性
搭載される2.2Lクリーンディーゼルターボは、低回転から力強いトルクを発揮するのがディーゼルエンジンの持ち味。荷物や架装で重量が増えるキャンピングカーにとって、余裕のある動力性能は長距離移動の快適性に直結します。遠方の車中泊地まで一気に走る遠征スタイルとも相性がよく、燃料コスト面でもガソリン車に対するアドバンテージが期待できます。
就寝スペースとシートアレンジ

NOCTIの車内は、日常の乗車と車中泊を両立させるシートアレンジが核になっています。サードシートを取り外し、セカンドシートと組み合わせることで、フルフラットの就寝スペースへと切り替えられる構造です。就寝定員は大人2名。セカンドシートのマットは寝心地を追求して設計されており、単に「横になれる」ではなく「しっかり眠れる」ことを目指した作り込みがなされています。
限られた車内スペースをミリ単位で計算したというレイアウトも、専門店ならではのこだわりです。純正の外観・全高を維持したままの車内は決して広大ではありませんが、その制約の中で「寝る」と「くつろぐ」を成立させることに主眼が置かれています。日中は5名乗車のミニバンとして家族や仲間を乗せ、夜は大人2名の寝室へ——この切り替えのスムーズさが、普段使いと車中泊を一台で兼ねたい人にとっての価値になります。
電装・快適装備|夏の車中泊を支えるNOCTI M

車中泊の快適性を大きく左右するのが電装システムです。上位グレードのNOCTI Mには、以下が標準装備されます。
- 600Ah大容量リチウムイオンバッテリー:長時間の電力供給に対応
- 12Vクーラー:夏場の車内温度対策に有効
- 走行充電・外部充電対応:走りながら、あるいは電源サイトで充電が可能
- 電子レンジ・冷蔵庫の使用が可能:消費電力の大きい家電にも対応
近年の車中泊で最大の課題となるのが夏場の暑さ対策です。12Vクーラーを大容量バッテリーで駆動できる構成は、エンジンを止めた夜間でもエアコンを運用しやすく、猛暑期の車中泊のハードルを下げてくれます。加えて、以下の装備はオプションとして選択できます。
- FFヒーター:燃料式の暖房で、冬の車中泊や寒冷地に有効
- MAXファン:換気・空気の入れ替えを効率化するルーフファン
- 電子レンジ
- ソーラーパネル:日中の発電でバッテリーを補い、電源のない場所での連泊性を高める
FFヒーターやソーラーパネルを追加すれば、夏だけでなく冬の車中泊や、電源のないフィールドでの連泊にも対応範囲が広がります。自分の車中泊スタイル——季節、行き先、連泊日数——に合わせて装備を積み上げていける拡張性も、NOCTIの検討ポイントです。
「NOCTI」という名前の由来
車名のNOCTI(ノクチ)は、ドイツの光学メーカー・ライカの大口径レンズ「ノクティルックス(Noctilux)」に由来するとされています。ノクティルックスは開放F値0.95という圧倒的な明るさで知られる名玉で、わずかな光でも被写体を美しく捉えることで有名です。
限られた改造スペースという制約の中で、使いやすさと洗練されたデザインを両立させる——その姿勢を、「限られた光の中で最高の描写を実現するレンズ」になぞらえたネーミングと考えられます。車名にこうした物語を込めるあたりにも、専門店による作り込みへのこだわりがうかがえます。
他のバンコンと比べたときのNOCTIの位置づけ
バンコンの定番ベース車といえばトヨタ・ハイエースですが、NOCTIはあえてデリカD:5を選んだ点で明確に差別化されています。両者を大まかに比較すると、次のような違いが見えてきます。
- 走破性:デリカD:5ベースのNOCTIは、4WD+S-AWCとクリーンディーゼルにより、悪路・雪道への強さで個性を発揮します。舗装路中心のハイエースベースのバンコンとは狙う土俵が異なります。
- サイズ感・取り回し:全高1,875mm・全幅1,815mmは、ハイエースベースの多くのバンコンより日常の駐車環境になじみやすい寸法です。
- 居住空間の広さ:一方で、絶対的な室内スペースや就寝人数の多さでは、ボディの大きいハイエースベースに分があります。NOCTIの就寝定員は2名で、大人数での就寝を求めるなら別のカテゴリーが候補になります。
つまりNOCTIは、「広さ」よりも「どこへでも行ける走破性」と「普段使いのしやすさ」を優先する人に刺さるモデルといえます。ソロやカップル、大人2名での車中泊を軸に、アウトドアの目的地を選ばない一台を求める層に向いた選択肢です。
どんな人に向いている?
ここまでの情報を踏まえると、NOCTIは次のような人に適したモデルといえます。
- 平日は普段の足として使い、週末に車中泊やキャンプを楽しみたい人
- 雪道や未舗装路など、一般的なミニバンでは入りにくい場所へも足を延ばしたい人
- 大人2名(ソロ・カップル)中心の車中泊スタイルの人
- 立体駐車場やコインパーキングを使う都市部在住で、全高の低さを重視する人
- 夏の暑さ対策として車載クーラーを本格的に運用したい人(NOCTI Mが候補)
逆に、家族4〜5名での就寝や、常設ベッド・大型ギャレーといった広い居住空間を最優先する場合は、キャブコンやハイエースベースの大型バンコンのほうが要件に合う可能性があります。
実車を見る・購入を検討するには
NOCTIは東京キャンピングカーショー2026での初公開・発売開始を経て、加藤モーター(新潟県燕市)が製造・販売を手がけます。キャンピングカーは高額な買い物であり、車内の広さや寝心地、装備の使い勝手は写真やスペック表だけでは判断しきれない部分が多いものです。購入を本格的に検討する際は、実車を確認し、就寝スペースに実際に横になってサイズ感を確かめること、そしてグレードやオプションの構成を自分の車中泊スタイルに照らして相談することをおすすめします。
価格や装備、納期といった条件は変更される場合があるため、最新かつ正確な情報は加藤モーターの公式情報で確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. NOCTIのベース車は何ですか?
A. 三菱デリカD:5(P・ディーゼル・4WD)です。2.2Lクリーンディーゼルターボエンジンを搭載し、全車が4WD+S-AWCとなっています。
Q. 価格はいくらですか?
A. 基本グレードのNOCTI SLが604万4,500円(税込)、上位グレードのNOCTI Mが824万4,500円(税込)です。
Q. 何人で車中泊できますか?
A. 就寝定員は大人2名です。乗車定員は5名で、日中はミニバンとして使えます。
Q. 夏の車中泊でエアコンは使えますか?
A. 上位グレードのNOCTI Mには12Vクーラーと600Ahの大容量リチウムイオンバッテリーが標準装備され、夏場の暑さ対策に対応します。基本グレードでは装備構成が異なるため、詳細は販売店にご確認ください。
Q. 立体駐車場に入りますか?
A. 全高は1,875mmです。多くの立体駐車場の高さ制限(おおむね2,000mm前後)内に収まりますが、施設によって制限は異なるため、利用予定の駐車場で事前に確認してください。
Q. どこで購入できますか?
A. 新潟県燕市のキャンピングカー専門店・加藤モーターが製造・販売しています。最新の在庫・納期・価格は公式情報で確認してください。
まとめ
加藤モーターの新型バンコン「NOCTI(ノクチ)」は、三菱デリカD:5の悪路走破性と普段使いのしやすさをそのままに、車中泊できる寝室を一台に組み込んだモデルです。2026年7月11日の東京キャンピングカーショー2026で初公開・発売され、基本のNOCTI SL(604万4,500円)と、大容量バッテリー・12Vクーラーを標準装備する上位のNOCTI M(824万4,500円)の2グレード展開。全高1,875mmという扱いやすい寸法、4WD+S-AWCによる走破性、そして夏の暑さに対応する電装まで、「週末は本格車中泊、平日は普段の足」というニーズに正面から応える一台です。
大人2名を軸にした車中泊スタイルで、行き先を選ばない自由さと日常での使いやすさを両立させたい——そんな人にとって、NOCTIは有力な選択肢になるでしょう。実車の確認とグレード・オプションの相談を通じて、自分の使い方に合う構成を見つけてみてください。
※本記事は2026年7月時点の公式発表および各種報道に基づく情報です。価格・装備・仕様は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は加藤モーターの公式情報をご確認ください。