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車中泊マットは厚みよりR値で選ぶ|秋の底冷え対策【2026年版】

10cmと8cmで迷って手が止まっている人へ。厚みは段差をならす数字、底冷えを止めるのはR値です。厚さ3.8cmでR値4.2のマットと、10cmでR値非公表のマットを並べ、測定規格ASTM F3340の有無まで含めて6製品を実数で比較しました。

日向あかり
キャンピングカージャーナルのギア担当。ソロキャンプ歴7年。道…
公開2026.08.15
読む時間12 min
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9月の道の駅。22時に寝て、4時ごろ目が覚める。寒いのは背中だけ。シュラフは3シーズン用に替えたし、電気毛布も積んだ。それでも下からじわじわ来る。次に買うのはマットだと分かっているのに、10cmと8cmのどちらかで手が止まる。

わたしの結論を先に置きます。厚みは段差をならすための数字で、底冷えを止めるのはR値のほうです。そしてR値は足し算できるので、多くの人にとっての正解は、買い替えより1枚の追加です。薦めるのはサーマレストのZライト ソル R(410g、R値2.0、2026年8月15日時点で10,111円)です。ただし寝床に3cm以上の段差が残っている人は、これを敷いても解決しません。先に埋めるべきは段差のほうです。

上を厚くしたのに、なぜ背中だけ冷えるのか

理由はシュラフの構造にあります。ニーモの日本語公式サイトが、ジャーナル記事でこう書いています(NEMO Equipment Japan・2026年8月15日閲覧)。

シュラフの下側の断熱材は寝ている人の体重や湿気で押し潰されると断熱効果が大きく低下します。

同じページには、こうも書いてあります。

寒い夜にとても暖かいシュラフを使っていても、マットが十分な断熱性を持っていないと背中が寒くて寝られないことがあります。これは熱が上面から逃げない一方で、地面に逃げてしまっているからです。

つまり、上側を厚くするほど下側との差が開く。シュラフを2ランク上げても背中の冷えは残ります。担当が違うからです。

当サイトでは、寝床まわりを3つに分けて書いています。上側の断熱がシュラフ(快適使用温度で選ぶ)、外から熱を足すのが電気毛布(定格Wで選ぶ)。この記事が扱うのは下側です。

夏に読まれた冷感マット・敷きパッドの記事は、軸がちょうど裏返しになります。あちらで見るQ-max値は「触れた瞬間にどれだけ熱が逃げるか」の指標で、高いほど冷たく感じる。こちらのR値は「どれだけ熱が逃げないか」。同じマットという言葉でも、9月からは逆の数字を見にいくことになります。

車の荷室をフラットにした寝床の断面。床板の上にマット、その上にシュラフを重ねた層
上はシュラフ、下はマット。担当が分かれているので、片方だけ厚くしても埋まりません

9月の朝は、8月より何度低いのか

気象庁の平年値(1991年から2020年の30年平均)で、日最低気温の推移を追います。数字は気象庁の日ごとの平年値から書き写しました(東京・河口湖とも2026年8月15日閲覧)。

日付東京の日最低気温河口湖の日最低気温
8月15日23.7℃18.8℃
8月31日22.6℃17.4℃
9月15日20.5℃15.1℃
9月30日17.6℃12.0℃
10月15日15.0℃8.8℃
10月31日11.7℃5.0℃

東京は8月15日から9月30日までの46日で6.1℃下がります。河口湖は6.8℃。10月末まで見れば、河口湖の平年値は5.0℃です。

注目したいのは下がり方の速さです。東京の9月は、1日あたり0.16℃ずつ落ちていく。半月で2.5℃前後です。3泊の間隔を空けて同じ場所へ行くと、前回と体感が変わっている。「先週は平気だったのに」の正体はこれだと思います。

標高でも差が出ます。8月15日の時点で東京と河口湖は4.9℃違う。東京の平年値が河口湖の8月15日と同じ18.8℃まで下がるのは9月22日ごろで、38日後です。真夏に河口湖へ行くのは、東京の5週間先の夜へ行くのと同じことになります。

わたしが見る軸は3つ。うち1つが本題

軸1|R値。ただし「どう測ったか」まで見る

R値は熱抵抗のこと。数字が大きいほど熱が逃げにくくなります。

長いあいだ、この数字は各社ばらばらの方法で測られていました。統一したのが試験規格ASTM F3340です。ニーモは前掲ページで、この規格を「2019年秋に承認された」と書き、規格ができるまで自社のR値を公表しなかったことも明かしています。サーマレストの日本総代理店である株式会社モチヅキも、サーマレスト日本語公式サイトのFAQで「ASTM F3340-18は、スリーピングパッドの断熱性能を示すR値の評価基準として新たに制定された試験規格です」と説明しています(2026年8月15日閲覧)。

測り方は、5℃の冷たいプレートと35℃の暖かいプレートでマットを挟み、荷重をかけて人が寝た状態を再現する。暖かい側が体温を保つのに必要なエネルギーから熱抵抗を出す(ニーモ前掲ページ)。地面と体温のあいだに置かれた1枚を、そのまま実験室で再現した手続きです。

ここで実際に困るのが、旧基準の数字が販売ページに残っていること。サーマレストのZライト ソルは、Amazonの商品名が「R値2.6」となっています。一方でモチヅキの製品ページは「R値(ASTM)2.0」。同じ51×183cm、厚さ2cm、410gの製品です(いずれも2026年8月15日閲覧)。0.6の差は誤差ではなく、基準が違うだけ。買うときはメーカー側の表記を採ります。

もうひとつ、規格名がどこに書いてあるかも見ます。同じ「ASTM準拠」でも、書いてある場所で確からしさが変わるからです。今回の6ブランドのうちASTMの名前が出てきたのは3つで、その3つも書いてある場所がばらばらでした。

製品ページに規格名が書いてあるのはサーマレストだけでした。モチヅキの各製品ページは、スペック欄の項目名そのものが「R値(ASTM)」になっています。

ブランドの公式サイトに書いてあるのがニーモです。製品ページの表記は「R値 2.0」だけですが、前掲のジャーナル記事に「この基準が導入され、NEMOの全てのマットがこの基準でテストされたことで2020年からR値を公表するようになりました」とあります。全製品が対象だと言い切っている点で、製品ページに戻して読めます。

輸入代理店のページにだけ書いてあるのがシートゥサミットでした。ロストアローの技術解説ページに、シートゥサミットは主要メーカーで統一された新基準を導入していると書かれています(規格名の綴りは「ATSMF3340-18」。ページ末尾に「このページは2022年4月1日時点の情報を元に作成しています」と明記。2026年8月15日閲覧)。ただし当の製品ページにもAmazonの商品ページにも、ASTMの3文字はありません。生のHTMLを取得して数えましたが、どちらも0件でした。

この違いを、後の表では「規格の出どころ」として1列に書き分けています。

R値は比で効きます。R値が2倍になれば、同じ温度差で背中から逃げる熱は半分。R2.0からR4.2へ上げると、逃げる熱はおよそ48%まで減る計算です。ワット数への換算はしません。公表値の単位系が製品ごとにそろっていないからです。比だけを見れば足ります。

軸2|厚みは段差を埋めるための数字

厚みは断熱の指標ではありません。段差解消の指標です。

後席を倒した床にはたいてい段差が残ります。シートの傾斜、シートバックとラゲッジの継ぎ目、タイヤハウスの張り出し。10cm厚が売れる理由はここにあって、断熱のためではない。フィールドアの車中泊マットのレビューにも「後部座席側を手作りでフラットにして10センチの厚みで前部座席の座面の凹凸解消できました」という一文が並んでいます(Amazonの商品ページ・2026年8月15日閲覧。リンクは後の比較表に置きました)。

段差が2cm以下なら、厚み3〜4cmで足ります。5cmを超える段差があるなら、8cm以上か、板とクッションで先に平らにするか。順番を逆にすると、厚いマットを買っても腰の下だけ沈みます。

軸3|収納したときの体積

車中泊のマットは、走行中は荷物です。ここが一番地味で、一番効きます。

厚さ2cmの折りたたみマットは51×13×14cm。厚さ3.8cmのインフレーターは径16×26cm。10cm厚のLサイズになると径25×122cmで、重量は5.6kg。後席下にも足元にも入りません。人ひとり分の荷物が常に乗ることになります。

収納状態のマット3種を並べて大きさを比べたカット
左から折りたたみ2cm、インフレーター3.8cm、10cm厚。断熱よりも先に、この差で選ぶ日があります

厚さ3.8cmとR値4.2、厚さ10cmとR値非公表

2026年8月15日に、7製品のメーカー公式ページとAmazonの商品ページを開いて数字を書き写しました。「非公表」はメーカーがR値を出していないという意味です。「記載なし」は、R値は書いてあるが測定規格が書かれていないという意味。この2つは区別しています。

製品厚みR値(規格の出どころ)重量収納サイズ価格(8/15時点)
キャプテンスタッグ EVAフォームマット 56×182cm2cm非公表270g13×12.5×56cm2,236円
サーマレスト Zライト ソル R2cm2.0(製品ページにASTM)410g51×13×14cm10,111円
ニーモ スイッチバック レギュラー2.3cm2.0(ブランド公式にASTM)415g13×14×51cm10,100円
シートゥサミット キャンプマットS.I. レギュラー3.8cm4.2(代理店ページのみ)780g径16×26cm10,090円
サーマレスト ベースキャンプ R5cm6.0(製品ページにASTM)1,140g54×22cm22,000円
WAQ インフレータブル式マット 8cm8cm6.0(記載なし)2.5kg65×20cm6,980円
フィールドア 車中泊マット 10cm Lサイズ10cm非公表5.6kg径25×122cm13,000円
キャプテンスタッグ EVAフォームマット 56×182cm
EVAフォームマット

サーマレスト Zライト ソル R
Zライト ソル R

ニーモ スイッチバック レギュラー
スイッチバック

シートゥサミット キャンプマットS.I.
キャンプマットS.I.

サーマレスト ベースキャンプ R
ベースキャンプ R

WAQ インフレータブル式マット 8cm
WAQ 8cm

フィールドア 車中泊マット 10cm Lサイズ
フィールドア 10cm

表にして、いちばん目についたのはここです。厚さ3.8cmのキャンプマットS.I.がR値4.2で、厚さ10cmのフィールドアはR値を公表していない。フィールドアの公式製品ページを全文取得して確かめましたが、R値もASTMの文字も1度も出てきませんでした(2026年8月15日閲覧)。厚みが2.6倍でも、断熱の数字が無ければ比べようがありません。

同じ「6.0」が2つ並んでいるのも、この表の見どころです。サーマレストのベースキャンプは厚さ5cmでR値6.0、価格は22,000円。WAQの8cmもR値6.0で、6,980円。3.2倍の開きがあります。

違いは規格の出どころです。ベースキャンプはモチヅキの製品ページのスペック欄が「R値(ASTM)6.0」で、Amazonの商品名にも「R値 6.0」と入っています(2026年8月15日閲覧)。WAQのほうは、公式オンラインストアの製品ページにもAmazonの商品ページにも測定規格の記載がありません(同日閲覧)。数字は同じでも、比べる土俵に載っているかが違う。この差に15,000円を払うかどうかが、この表のいちばん重い分かれ目だと思います。

目安をもうひとつ。ASTM F3340で測ったR値でいちばん高い部類が、サーマレストのネオエアーXサーモ NXTの7.3です(厚さ7.6cm。モチヅキの製品ページ・同日閲覧)。厳冬期のテント泊を想定した1枚がその数字だと知っておくと、規格の記載がないR値をどう受け取るかの見当がつきます。

シートゥサミットのキャンプマットS.I.は、数字だけ見れば表でいちばん効率がいい1枚です。厚さ3.8cmでR値4.2、780g。ただし2つ注意があります。ひとつ、正規輸入代理店ロストアローの製品ページは【OUTLET】表記で「在庫限りの旧製品のためアウトレット価格でのご提供です。」とあり、50%OFFの¥6,490(通常¥12,980)で出ています。Amazonの10,090円より3,600円安い。ふたつ、同じページの冒頭に「株式会社ロストアローの輸入代理店業務は2026年8月末をもって終了し、株式会社ブルーシープが承継いたします。」と告知が出ています(いずれも2026年8月15日閲覧)。買うなら在庫と価格を正規店で見比べてからにしてください。

わたしが最初に足す1枚に選ぶならZライト ソルのRです。410g、厚さ2cm、収納51×13×14cm。R値2.0は製品ページに規格名つきで書かれた数字で、10,111円。星は4.5で3,256件、Amazon.co.jpが発送する在庫がありました(2026年8月15日閲覧)。安くはありませんが、素性のはっきりした数字を寝床に1枚足せます。

1枚で冬まで通したいならベースキャンプのR。5cm厚、1,140g、収納54×22cm。ただし確認した時点の在庫は「残り1点」で、出品者による発送でした。急ぐ買い物には向きません。

段差が大きい車で、平らにすることを最優先するならWAQの8cm。6,980円で2.5kgです。断熱の数字は比較の土俵に載らないと割り切って、厚みと価格で買う1枚だと思っています。

R値は足し算できる。だから買い足さなくていい場合がある

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。R値は加算できます。ニーモの日本語公式ページに、はっきり書いてあります。

R値は加算式なので、2つのマットを重ねて使うとそのR値を増やすことができます。

同じページには具体例も添えられています。

テンサートレイル(R2.8)とスイッチバック(R2.0)を重ねるとR値4.8のマットと同等の断熱性を持ち、冬にも快適に眠れます。

つまり、いま持っている8cmや10cmのマットを捨てる必要はありません。 その上か下に、R値の分かっている薄い1枚を足すだけでいい。Zライト ソルなら410gで2.0、スイッチバックなら415gで2.0。10,000円前後の買い足しで、寝床全体の断熱をひと段上げられます。

順番はマットの下です。体重で潰れにくい硬い1枚を床側に敷き、柔らかいほうを上にすると、寝心地を落とさずに断熱だけ足せます。

家にある銀マットやアルミ蒸着シートを足す手もあります。ただしR値が公表されていないので、足し算に入れる数字がありません。「多少は効く」までは言えても、「これで9月の河口湖に足りる」とは言えない。数字で判断したいなら、公表値のある1枚を選ぶ意味はここにあります。

買わなくていい人

3つのどれかに当たるなら、今シーズンは見送っていいと思います。

ひとつ。年に2泊以下しか車中泊をしない人。10,000円のマットを2泊で割ると1泊5,000円で、その日はビジネスホテルに泊まれます。マットが効いてくるのは年5泊を超えたあたりから。1泊2,000円を切ります。

ふたつ。すでにR値の分かるマットを持っていて、行き先が10月までの平地の人。東京の10月15日の平年値は15.0℃です。R2.0の1枚に電気毛布を足すほうが、買い替えより安く済みます。

みっつ。段差が5cm以上残っている人。ここでマットを買うと、厚みで解決しようとしてどんどん高いほうへ行きます。コンパネと座布団で先に床を作ったほうが速い。平らになってから断熱を考えたほうが、結果として安く上がります。

逆に、11月以降に標高のある場所へ行く予定があるなら、迷わず買ったほうがいいと思います。河口湖の10月31日の平年値は5.0℃。ここから先は、上を足しても背中が持ちません。

撤収と手入れで面倒になるところ

買ったあとに効いてくるのは、断熱ではなく空気抜きのほうです。

厚みのあるインフレーターマットは、空気を抜いて巻くのに力が要ります。フィールドアのLサイズは5.6kg、収納が径25×122cm。商品ページのレビューには「収納は袋の形状が長筒なので折らずに丸めるだけなのでかなり嵩張る」「圧縮はほとんどされないから人を一人運んでいるかの様なサイズになります」という声が並んでいました(2026年8月15日閲覧)。星の分布は155件中、星2つが2%、星1つが3%です。

WAQの8cmは4,350件で星4.3。同じく星2つが2%、星1つが3%でした。商品ページのレビュー要約には「99人のお客様が厚みに言及し、82人が肯定的、17人が否定的です」と表示されています(同日閲覧)。厚みそのものへの不満は少数派で、引っかかるのはたたむ工程のほうだと読めます。

湿気も忘れないでください。バルブから吸い込む空気には、車内の湿気が入ります。使ったあとはバルブを開けたまま室内で立てかけて乾かす。WAQの公式ページも注意事項に「かび・匂いの原因となりますので濡れた場合はお早めに乾燥させてください」と書いています(前掲ページ)。

その点、折りたたみのクローズドセルは楽です。水を吸わない。パンクしない。畳むだけ。410gで51×13×14cm。撤収の速さを重視するなら、R2.0の1枚を軸にして、寒くなったら上に重ねる組み方のほうが続きます。

結局どちらを選ぶか

すでに8cmや10cmのマットを持っていて、9月から11月に平地で泊まる人は、買い替えずにサーマレストのZライト ソル Rを1枚足す。410gで、規格名つきのR値2.0がそのまま上乗せされます。今シーズンはこれで足ります。

まだ1枚も持っておらず、冬まで1枚で通したい人はベースキャンプのR。R値6.0が製品ページに規格名つきで書かれています。ただし在庫が薄いので、切れていたら無理に待たず、Zライト ソルを2枚重ねてR4.0を作るほうが早く手に入ります。

見送っていいのは、年に2泊以下の人と、床の段差が5cm以上残っている人。前者は宿代のほうが安く、後者はマットを厚くしても床が平らになりません。

この記事で書けていないのは、車の床そのものの断熱です。フロアマットや遮熱シートを床板に貼ったとき、寝床全体のR値がどう動くか。ここは公表値のある製品がほとんど無く、わたしもまだ数字を持っていません。信頼できるデータが出たら追記します。

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日向あかり

キャンピングカージャーナルのギア担当。ソロキャンプ歴7年。道具を買う前に何時間もスペック表を見比べるのが好きで、気づけばギアが増えているタイプ。カタログの定格値ではなく、実際に効いてくる数字(重さ・収納サイズ・消費電力量)で比べます。買う理由と同じだけ、買わなくていい理由も書きます。