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深夜2時。道の駅の駐車場で目が覚めます。トイレ棟までは50m。外は真っ暗で、隣の車に人がいるのかも分からない。行きたくない。でも、我慢はききません。9月19日からの5連休で初めて車中泊をする人が、最初につまずくのはたいていここです。
結論を先に。容量が数字で書いてある製品を買う
車中泊に持ち込む1個目としては、ケンユーの携帯ミニトイレを推します。理由はひとつで、メーカー公式が容量をmlで公表しているから。プルプル2個入は1,000ml、女性用のプルプルレディIIは約800mlです。
薦めないのは、パッケージに「50回分」「100回分」としか書いていない製品を最初の1個にすることです。回数は凝固剤の袋を数えた数字で、1回を受けきれるかとは別の話。
備蓄と兼用したいなら、防臭袋まで入ったセット品のほうが後が楽になります。この記事の後半で理由を書きます。
「50回分」は凝固剤の袋を数えただけの数字
携帯トイレの箱でいちばん大きく書いてあるのは、たいてい回数です。50回分、100回分。安いほうが得に見える。わたしも最初はそう見ていました。
ところが、大人用紙おむつの世界には回数表示のルールがあります。一般社団法人日本衛生材料工業連合会(日衛連)の「紙おむつの表示に関するガイドライン」は、吸収回数を書くときの条件をこう定めています(原文ママ・2026年8月18日取得)。
店頭販売を目的とした大人用紙おむつのパッケージに、吸収回数に関する情報を表示する場合、案内表示を「吸収回数の目安」とし、使用目安の回数と1回の排尿量を併記する。
回数を書くなら、1回が何mlのつもりなのかを隣に書け、というルールです。同じガイドラインは続けてこう書いています。
1回の排尿量の数値設定は製造業者の自由設定とする。
つまり、おむつ業界でも1回の量そのものは各社が決めていい。それでも「何mlとして数えたか」の開示は求められる。ここが肝心なところです。
携帯トイレには、この併記ルールがありません。だから「50回分」は、袋が50枚あるという以上の意味を持たない。1回分が何mlを想定した設計なのかは、書いてある製品と書いていない製品に分かれます。
何mlあれば足りるのか、体重から逆算する
では、1回で受けるべき量はどれくらいなのか。ここは推測で書かず、公的資料と学会資料を積み上げます。
備蓄数の目安は経済産業省が出しています。「トイレ備蓄 忘れていませんか」のページにはこうあります(原文ママ・2026年8月18日取得)。
1人あたり35回分(7日分)の災害時トイレの備蓄が必要です。
35回を7日で割ると、1日5回。クリロン化成のBOS非常用トイレの公式ページも「1日5回分/1人とした場合」という但し書きで回数を換算していて、業界の想定もここで一致しています。
次に1日の尿量です。日本排尿機能学会と日本泌尿器科学会が編集した『夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]』のPDF本文には、こう書かれています。
正常成人の平均 24 時間尿量 / 体重は 20±3 mL/kg と報告されている。
体重50kgなら1日850〜1,150ml。体重60kgなら1,020〜1,380ml。これを1日5回で割ります。
| 体重 | 1日の尿量の目安(20±3mL/kg) | 1日5回で割った1回あたり |
|---|---|---|
| 45kg | 765〜1,035ml | 153〜207ml |
| 50kg | 850〜1,150ml | 170〜230ml |
| 60kg | 1,020〜1,380ml | 204〜276ml |
| 70kg | 1,190〜1,610ml | 238〜322ml |
同じガイドラインは「多尿の基準は 24 時間尿量が 40 mL/kg 体重を超えた場合である」とも書いています。体重50kgなら1日2,000ml。5回で割れば1回400mlです。ここが上振れの端になります。
日本泌尿器科学会の一般向けページ「尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~」も、多尿の説明のなかで1回量に触れています(原文ママ)。
この場合には、1回の排尿量は正常(150~200ml以上)であるにも関わらず、何回もトイレに行くことになります。
ここまでを1本にまとめます。平常時の1回はおよそ150〜300ml、上振れすると400ml近くまで届く。 そして車中泊の夜は、平常時ではありません。
夕方に温泉に入って水分を取り、寝る前にビールを1本開ける。そういう日の朝いちばんの1回は、日中の1回より確実に多くなります。就寝前の最後の排尿から6時間ぶんが溜まっている計算です。前掲の20mL/kgを時間割りすれば、体重50kgでも6時間で約250ml。夜のうちに1回で出る量として、300mlは見ておきたい。わたしはここを判定の線に置いています。
公称容量300ml未満の製品を、車中泊の夜の1個目にはしない。 これがこの記事でいちばん言いたいことです。

見るのは3か所。容量・個包装・持ち帰り
軸は3つに絞れます。それぞれ、なぜそこを見るのかを付けます。
1つめは公称容量。 前の章のとおり、300mlが線。ここが書いていない製品は、書いていないという事実ごと評価に入れます。凝固剤の重さ(7gや10g)だけでは、何mlを受けられるかは決まりません。高分子吸水樹脂の種類と量で変わるからです。
2つめは個包装かどうか。 20枚入りの便袋が大袋にまとめて入っている製品は、備蓄には向いていても車内には向きません。夜、暗い車内で袋を1枚だけ引き抜くのは想像よりずっと難しい。1回分ずつ独立していて、片手で取り出せる形が要ります。
3つめは使ったあとを密閉できるか。 受け口がファスナーで閉まるか、外袋が付いているか。ケンユーは公式の特徴欄に「ファスナー付きで使用後密封できます」と書いていて、プルプルレディIIには持ち帰り袋と水溶性ティッシュが同梱されます。この差が、翌朝の車内のにおいをそのまま決めます。
7製品を「公式が何を書いているか」で並べた
比較の列には、メーカー公式サイトに書いてある数字だけを入れました。書いていない欄は「公式に記載なし」と書いています。価格は2026年8月18日時点のAmazon表示です。
| 製品 | 1回あたりの公称容量 | 入数 | 収納サイズ・重量 | 保存・保証 | 価格と1回単価 |
|---|---|---|---|---|---|
| ケンユー 携帯ミニトイレ プルプル 2個入 | 1,000ml(公式) | 2回分 | W115×H210×D15mm・40g(公式) | 記載なし | 383円・約192円 |
| ケンユー 女性用 プルプルレディII 2個入 | 約800ml(公式) | 2回分 | W140×H230×D25mm・55g(公式) | 記載なし | 609円・約305円 |
| ケンユー プルプルエコパック 18個入 | 600ml(公式・品番18AP-20) | 18回分 | W165×H95×D92mm・255g(公式) | 記載なし | 1,980円・110円 |
| BOS 非常用トイレ Bセット 15回分 | 公式に記載なし(凝固剤10g/袋) | 15回分 | 横14.0×高20.0×厚5.8cm・約720g(公式) | 商品ページ表記で15年 | 2,020円・約135円 |
| マイレット mini-10 | 公式に記載なし(凝固剤7g/袋) | 10回分 | W135×D50×H180mm・約300g(公式) | 使用期限10年(公式) | 1,773円・約177円 |
| 総合サービス サニタクリーン 簡単トイレ 20枚 | 公式に記載なし(FAQで「1〜2回」) | 20回分 | 幅280×高320×厚85mm・1.2kg(公式) | 保証7年(公式FAQ) | 4,400円・220円 |

プルプル

プルプルレディII

エコパック18

BOS 15回分

マイレット mini-10

サニタクリーン
この表は、実際に5社の公式サイトを1ページずつ開いて数えたものです。数えた対象は、ケンユー・セイワ・クリロン化成・まいにち・総合サービスの計7製品ページ(2026年8月18日取得)。結果、容量をmlで公表していたのはケンユー1社だけでした。表に載せたのはそのうち6製品です。
ケンユーは公式の仕様表に「容量」の行があり、品番ごとに1,000ml・800ml・600mlと分けています。一方で、クリロン化成・まいにち・総合サービスの公式商品ページには、吸水量の数字が見当たりません。凝固剤の重さ(10g・7g)と入数は書いてあるのに、そこは書かない。
カー用品のセイワはもっと踏み込んだ例です。Z61の公式製品ページ(品番Z61・3枚パック・発売2011年4月)には、袋の枚数と外形寸法はあっても容量の記載がありません。ところが小売店の商品名には「600cc」が並びます。600ccという数字自体は各所で一致していますが、メーカー公式で確認できない数字を、公式のスペックとして扱うのは避けました。 だから表からは外しています。オートバックスなどの店頭で手に取りやすい製品ではあるので、買うなら「600ccは販売店表記である」と分かったうえでどうぞ。
総合サービスは、数字の代わりに使用感で答えています。公式FAQの「1枚で、何回位トイレができますか?」への回答は「成人の尿量は人によってバラツキがありますが、1~2回の尿を吸収できます」。同じFAQに「保証期間は7年間です」ともあり、保存年数を明記している数少ない例でもあります。
わたしの結論は変わりません。夜に1回で受けきる用途なら、容量が数字で出ているケンユー。備蓄と兼用して枚数を確保するなら、防臭袋が同梱されたBOSかマイレット。用途で分けます。
凝固の速さと消臭力は、横並びにできない
ここは正直に書きます。凝固時間と消臭性能に、点数は付けません。
理由は、各社が示す指標がそろっていないからです。まいにちは公式サイトで「(一社)京都微生物研究所調べ 2014年1月」という抗菌性検査を挙げ、大腸菌やアンモニア産生菌への効果を説明しています。総合サービスはサニタクリーンIIIについて抗ウイルス試験の実施を書いています。クリロン化成が前面に出すのは防臭袋BOSの素材そのもの。試験の対象菌も、測定条件も、比べる相手も違う。
こういうものを「◎○△」の表に落とすと、読者は比べられたと錯覚します。だから並べません。そろっていない指標を、そろって見える形にするのがいちばん質の悪い比較です。
凝固そのものにも個人差の但し書きがあります。ケンユーは注意事項にこう書いています(原文ママ)。
服用している薬の種類や尿の個人差により固まりにくい場合があります。
薬を飲んでいる人は、この一文を頭に入れておいてください。
いちばん厄介なのは、使ったあとの行き先
車中泊で携帯トイレを使うとき、本当の難所は使った瞬間ではありません。使い終わった袋を、どこに捨てるか。 ここが解けていないと、翌日ずっと車内に置くことになります。
最初は高速道路です。NEXCO中日本が公開しているPDF「SA・PAご利用上の注意」は、禁止事項をこう書いています(原文ママ)。
■ 所定のゴミ箱以外に物を捨てること。(なお、高速道路外からの持ち込みゴミを捨てることはご遠慮ください。)
SA・PAのごみ箱は、そこで休憩した人が出したごみのためのもの。前夜に道の駅で使った袋を翌朝のPAで捨てるのは、この但し書きにまっすぐ当たります。同じPDFには「休憩やお食事、お買い物などの目的以外で長時間にわたる駐車をおこなうこと」も禁止事項として並んでいて、SA・PAは寝る場所として設計されていないことがここでも読み取れます(サービスエリアで車中泊は禁止?に詳しく書いています)。
道の駅も同じ構図です。駐車場のごみ箱は施設の運営費で処理されていて、宿泊で出たごみを引き受ける前提で置かれていません。そもそも道の駅は仮眠のための施設という位置づけで、その境界は道の駅で車中泊は禁止かにまとめました。
ごみを出せる可能性が高いのはRVパークです。日本RV協会が公開している「RVパーク開設に必要なこと」には、認定に必要な条件として「ごみ処理が可能」が挙げられています。ほかに「24時間利用が可能なトイレ」「100V電源が使用可能(1台あたり20A以上推奨)」「入浴施設が近隣にあること(車で15分圏内)」なども並びます。ただし、ごみ処理が可能であることと、使用済みの携帯トイレを無条件で受け入れることは同じではありません。施設ごとに分別と有料袋の運用が違うので、予約時に聞くのが早い。
そして最終的な処分は自治体の判断です。ケンユーもサニタクリーンも、公式に同じことを書いています。ケンユーの注意事項は「処分方法は各地方自治体の条例に従って下さい」、総合サービスのFAQは「自治体により、ごみの収集方法が異なる場合がありますのでご注意ください」。
日衛連のガイドラインには、紙おむつの使用後の処理としてこの一文も入っています(原文ママ)。
* 外出時に使った紙おむつは持ち帰りましょう。
同じ高分子吸水樹脂を使う道具として、持ち帰りを前提に組むのが安全側です。 具体的には、使用済みの袋を防臭袋に入れ、蓋つきの容器かクーラーボックス相当の箱に収めて、自宅の可燃ごみへ回す。この運用なら施設のルールに依存しません。
防臭袋を単体で足すなら驚異の防臭袋BOS 白Mサイズ90枚(2026年8月18日時点で1,375円、1枚あたり約15円)。BOSのセット品を買うならこれは要りません。同梱されています。

買わなくていい人
ここは正直に書きます。トイレのある施設に泊まると決められる人は、携帯トイレを車中泊用に買う必要がありません。
RVパークの認定条件には「24時間利用が可能なトイレ」が入っています。日本RV協会によれば2026年に全国のRVパークは600カ所を超えました。夜中に確実に使えるトイレが敷地内にあるなら、車内で完結させる道具の出番は減ります。
損益分岐も計算しておきます。プルプル2個入は383円。年に2泊して1泊1回使うなら、1年分が383円です。安い。ただし「安いから買う」は、車内に道具が1つ増える理由としては弱い。使わないまま3年たてば、それは383円の場所ふさぎです。
わたしの線引きはこうです。夜間に施設のトイレへ行けない条件が1つでもあるなら買う。 その条件とは、周囲に人の目がなくて怖い、トイレ棟まで100m以上ある、ペットや小さい子を車に残せない、雨や雪で外に出たくない、といったもの。ひとつも当てはまらないなら、今回は見送っていい。
代用については、はっきり勧めません。ごみ袋に新聞紙や猫砂という組み合わせは検索するとよく出てきますが、猫砂は液体を吸うまでに時間がかかり、袋が薄ければ持ち上げた瞬間に破れます。携帯トイレの袋が不織布とポリエチレンの貼り合わせで作られているのは、そこに理由があります。ケンユーの素材表記は「ポリエチレン、高分子吸水樹脂」。300円台で買える安全側を、わざわざ自作で下回る意味はありません。
備蓄として持つなら話は別で、そのときは経産省の35回分が基準になります。防災の日が近い時期でもあるので、車中泊用と家庭備蓄を1つの買い物にまとめる考え方は合理的です。キャンピングカーを備蓄拠点として使う発想はキャンピングカーは「動く防災シェルター」にまとめています。
買ったあとに面倒になること
3つあります。どれも買う前には見えません。
置き場所が最初の面倒です。マイレットmini-10は約W135×D50×H180mmで約300g。文庫本を2冊重ねたくらいの箱で、グローブボックスに入ります。サニタクリーンの20枚入りは幅280×高320×厚85mmで1.2kg。これはもうラゲッジの荷物です。備蓄量を増やすほど、車内で場所を取る。当たり前ですが、箱の大きさは買う前に測っておく価値があります。
夏の車内温度が2つめ。ケンユーは注意事項で「高温、多湿、直射日光を避けて保管して下さい」と明記しています。総合サービスも「高温多湿での保管は避けてください」と書き、7年の保証はその前提の数字です。真夏のダッシュボードに置きっぱなしにするのは、保存年数を自分で削る行為になります。座席下や後席のシートバックポケットのほうが向いています。
3つめは、暗い車内で袋を広げる作業そのもの。プルプルレディIIの本体はW190×H225mm。この受け口を広げて位置を合わせる動作を、ヘッドランプの光だけでやることになります。買ったら1個は開封して、明るいうちに広げてみてください。 中身を出す必要はありません。袋の向きとファスナーの位置を手で覚えておくだけで、夜の10分が3分になります。
秋の車中泊全般の準備は秋の車中泊デビューは「9月・10月・11月で別物」に月別でまとめました。

シルバーウィークまでに決めるなら
2択で書きます。
夜のトイレが不安で、今回の旅を安心して寝られるものにしたい人。 容量が公表されているプルプルレディII(約800ml)を2個入で1つ。1泊なら足ります。防臭袋を1枚足せば、翌朝のにおいはほぼ気にならなくなります。
トイレのあるRVパークを予約済みで、車内で使う場面が想像できない人。 今回は見送っていい。買うのは、家庭の備蓄として35回分をそろえるときで間に合います。
最後にひとつ、この記事で書けていないことを残しておきます。凝固後の重量とにおいが、車内温度25℃と35℃でどう変わるか。ここは各社の公式資料にデータがなく、書けませんでした。メーカーが試験条件つきで公表してくれれば、次はそこを比べます。
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