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キャンピングカーが立体駐車場に入れない理由|高さ制限2.1m【2026年版】

立体駐車場の「高さ制限2.1m」は、駐車場法施行令が建築物である路外駐車場に課した下限です。車路は2.3m以上と別に定められています。道路は3.8mまで走れるのに駐車場へ入れない理由を、条文と車検証の数字から整理します。

篠原徹
キャンピングカージャーナルの車両・制度担当。前職は中古車販…
公開2026.09.04
読む時間9 min
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立体駐車場や地下駐車場の入口でよく見る高さ制限は2.1メートルです。これは駐車場法施行令が、建築物である路外駐車場に課している下限の数字にあたります。
下限が2.1メートルなら、基準どおりに造れば2.1メートルで足ります。

そして車路には、これとは別の数字が置かれています。

  • 建築物である路外駐車場は、駐車の用に供する部分のはり下が2.1メートル以上、自動車の車路のはり下が2.3メートル以上(駐車場法施行令 第九条・第八条第三号イ)。どちらも下限で、上限ではありません
  • この技術的基準がかかるのは、一般公共の用に供される路外駐車場のうち、自動車の駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル以上のもの(駐車場法 第二条第二号・第十一条、同施行令 第六条)
  • 道路側は別の制度です。車両制限令が認めている高さは、道路管理者が指定した道路で4.1メートル、その他の道路で3.8メートル(同令 第三条第一項第三号)
  • 全高2,950mmのキャブコンは、道路側の制限には収まり、2.1メートル制限の立体駐車場には入りません
  • 車検証の「高さ」だけで判断すると外すことがあります。記載値には公差が認められているためです※1

「2.1m」の出どころは駐車場法施行令 第九条

条文はこうです。

建築物である路外駐車場の自動車の駐車の用に供する部分のはり下の高さは、二・一メートル以上でなければならない。 (駐車場法施行令 第九条)

「はり下の高さ」は、天井の構造材の下端から床面までの寸法です。条文が求めているのは2.1メートル以上という下限で、これを上回って造る義務はありません。
2.1メートルという数字が各地で繰り返し現れるのは、これが法令の下限だからです。

もうひとつ、押さえておくと現地で迷わない区別があります。法令が定めているのははり下の高さで、入口に出ている制限表示と同じ数字とは限りません。
表示は、その施設が示す運用上の制限です。天井から配管や照明が下がっている駐車場では、はり下より低い数字が掲げられます。

立体駐車場の入口に設けられた鋼製の高さ制限バーと支柱
入口の制限表示は施設の運用上の制限。法令が定めているのは、はり下の高さ

車路は2.3メートル、停める場所は2.1メートル

車路の基準は第八条に置かれています。建築物である路外駐車場の自動車の車路について、同条第三号イは「はり下の高さは、二・三メートル以上であること。」と定めています。

走る場所のほうが20センチ高く取られている、という関係です。低いほうが停める場所で、2.1メートル。
駐車場に入るかどうかを決めるのは、この低いほうの数字になります。

第八条には、高さ以外の数字も並びます。

部分定められている数字
駐車の用に供する部分のはり下2.1メートル以上施行令 第九条
自動車の車路のはり下2.3メートル以上第八条第三号イ
車路の幅員(一方通行以外)5.5メートル以上第八条第二号ハ
車路の幅員(一方通行)3.5メートル以上第八条第二号ロ
屈曲部自動車を5メートル以上の内法半径で回転させることができる構造第八条第三号ロ
傾斜部の縦断勾配17パーセントを超えないこと第八条第三号ハ

車路の幅員の2件は、自動二輪車専用駐車場の特定自動二輪車の車路については別の数字(それぞれ3.5メートル以上、2.25メートル以上)が定められています。屈曲部の内法半径も、自動二輪車専用駐車場では3メートル以上です。

この一覧を、法令が想定している車のかたちとして読み直すと像がはっきりします。はり下2.1メートルに収まる高さ、乗用車なみの幅と回転半径、17パーセントの坂で床下をこすらない前後のオーバーハング。
キャンピングカーはこの想定の中にいません。入れないほうが標準側で、例外にあたるのは入れる駐車場です。

この基準がかかる駐車場と、かからない駐車場

技術的基準がかかる範囲は、駐車場法 第十一条が決めています。対象は「路外駐車場で自動車の駐車の用に供する部分の面積が五百平方メートル以上であるもの」。施行令 第六条も、この節の規定は駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル以上の路外駐車場に適用すると重ねて書いています。

そのうえで、「路外駐車場」自体にも定義があります。同法 第二条第二号がいうのは、道路の路面外に設置される自動車の駐車のための施設であって一般公共の用に供されるもの。
テナント専用や社員用のように一般に開かれていない駐車場は、この定義から外れます。

第八条第三号と第九条は、いずれも「建築物である路外駐車場」に向けた規定です。屋根も梁もない平面の駐車場に、はり下の高さはありません。

機械式にも別の扱いがあります。施行令 第十五条は、予想しない特殊の装置を用いる路外駐車場について、国土交通大臣がその装置をこの節の規定による構造または設備と同等以上の効力があると認める場合には、この節の規定を適用しないと定めています。
機械式駐車装置の収容制限が2.1メートルを大きく下回っていても、それは基準違反にあたりません。

ここまでを裏返すと、2.1メートルは「これ以上は必ず入る」という保証の数字でもありません。500平方メートル未満の駐車場、一般公共の用に供されない駐車場、大臣が認めた特殊の装置を用いる駐車場は、この下限に縛られていないからです。

道路は3.8メートルまで通れる。それでも駐車場には入らない

道路側の制度は、駐車場側とは向きが逆です。車両制限令 第三条第一項が定める最高限度は、幅2.5メートル、長さ12メートル、最小回転半径は車両の最外側のわだちについて12メートル。高さは、道路管理者が指定した道路を通行する車両で4.1メートル、その他の道路を通行する車両で3.8メートルです。

車両そのものの基準も同じ線を引いています。道路運送車両の保安基準 第二条第一項は、長さ12メートル、幅2.5メートル、高さ3.8メートルを超えてはならないと定めています。

道路側は「これを超える車は通さない」という上限を置き、駐車場側は「これ以上の高さを確保しろ」という下限を置く。上限は3.8メートル、下限は2.1メートル。
この1.7メートルの隙間に、キャブコンとハイルーフのバンコンが並んで入ります。合法に走れて、下限どおりに造られた立体駐車場には入らない車です。

キャブコンの側面。ルーフに換気装置とソーラーパネルが載っている
全高2,950mmのキャブコンは道路運送車両の保安基準の高さ制限3.8mに収まる。駐車場側の下限2.1mとは別の制度

自分の車の数字は、どこまで信じられるか

出かける前に見るのは車検証の「高さ」です。ただ、この値の性質を知っておく必要があります。

型式指定を受けた車では、完成検査終了証の「長さ」「幅」「高さ」は、完成検査で測った値と諸元表の値との差が別表の範囲内にあるときに限り、諸元表の値を小数点以下第3位を切り捨てて記載します(国土交通省「自動車型式認証実施要領について(依命通達)」国自総第193号 別紙2の1(9))。
その別表が定める高さの公差は、乗用自動車の普通自動車で±40mm、乗合自動車および貨物自動車の普通自動車で±60mmです※1。

機械式駐車設備の側からも、同じ指摘が出ています。公益社団法人立体駐車場工業会は「収容車寸法を車検証で確認したのに、入らない車があるのですが?」という問いに、この通達の公差を挙げてこう答えています。

そのため、車検証で確認した車の寸法が収容可能範囲であっても収容できない場合があり実車での確認が必要です。 (立体駐車場工業会 よくあるご質問)

もうひとつ効いてくるのが、ルーフに載る装備です。保安基準 第二条第二項第一号は、外開き式の窓と換気装置などについて、その自動車の最外側から250mm未満または自動車の高さから300mm未満という突出量の範囲を超えて突出してはならないと定めています。
換気装置の頂点は、自動車の高さより上にあってよい、ということです。車検証の値が車体の最上端とは限りません。

メーカー公表値で、実際の高さを並べてみます。

車種全高
ハイエースバン ロング・標準ボディ・標準ルーフ1,980mm(フロア形状ジャストローは1,985mm)
ハイエースバン ロング・ワイドボディ・ミドルルーフ2,105mm
ハイエースバン ロング・標準ボディ・ハイルーフ2,240mm
ハイエースバン スーパーロング・ワイドボディ・ハイルーフ2,285mm
VANTECH ZiL520(キャブコン)2,950mm
VANTECH CORDE Bunks(キャブコン)2,960mm

出典は、トヨタの主要諸元表〔バン〕(2026年6月版PDF)とVANTECHの車種ページ(2026年9月4日時点)です。

ワイドボディ・ミドルルーフのハイエースバンが2,105mm。架装も後付け装備もない素の状態で、2.1メートルを5mm超えています。ここにルーフベントやソーラーパネルが載るのがバンコンです。
標準ルーフの1,980mmは2.1メートルの下に収まりますが、余裕は12センチ。ルーフキャリアを付ければ消えます。

キャブコンの2,950mmは、そもそも別の世界の数字です。

入れる場所を先に決めておく

高さで弾かれる車では、目的地の駐車場を「行ってから探す」やり方が成立しません。先に停める場所を決めて、そこから行動を組む順序になります。

平面の駐車場、道の駅の大型車枠、高速道路のSA・PAの大型枠。この3つが基本の受け皿です。道の駅の大型枠の広さと停め方は道の駅なるさわの駐車場と食事で実際の区画を見ておくと感覚がつかめます。SA・PAの大型枠の使い方と時間の目安はサービスエリアで車中泊は禁止?にまとめてあります。

イベント会場も同じです。9月5日・6日にGメッセ群馬で開かれるALL関東キャンピングカーフェア2026では、来場者用の立体駐車場の高さ制限が2.1メートル。これを超える車は別レーンから大型車駐車場(1日2,000円・49台)へ回る運用です(ALL関東キャンピングカーフェア2026)。キャンピングカーのイベントでも、会場の立体駐車場は乗用車向けに造られています。

観光地で引き返す理由は、これとは別です。上高地や乗鞍のマイカー規制は、車の高さではなく通行そのものを対象にしたもので、高さが低い車でも入れません(中部アルプスの紅葉は「クルマで入れない」が前提)。物理的に入らないのか、規制で入れないのかを分けて調べると、代替案の探し方が変わります。

道の駅の大型車枠に停まったキャブコンと、隣に並ぶ観光バス
屋根のない平面駐車場と大型車枠。はり下の高さという制約がそもそも存在しない

日常の置き場所は、出先の駐車場とは別の問題です。月極や自宅の車庫に5メートル級を収めるときの寸法と条件は5mクラスのキャンピングカーの駐車場事情で扱っています。

買う前の段階なら、確認する数字は3つに絞れます。車検証(または諸元表)の高さ、そこに載る装備の突出、そして全長と全幅。
この3つを、よく行く場所の駐車場の制限と突き合わせておけば、入口で引き返す回数は目に見えて減ります。

更新日:2026年9月4日(駐車場法・駐車場法施行令・車両制限令・道路運送車両の保安基準は2026年9月4日時点のe-Gov法令検索による。駐車場法施行令は2026年4月1日施行の現行条文)

一次情報

注釈

※1 公差の別表は、自動車の種別を「乗用自動車」「乗合自動車及び貨物自動車」「大型特殊自動車」に分けています。8ナンバーの特種用途自動車として登録された車のための欄は、この表にありません。また、この記載方法は型式指定を受けた自動車の完成検査終了証についてのものです。架装後に持ち込みで検査を受けた車の記載値の扱いは、この通達が定めるところとは別です。いずれの場合も、駐車場の収容制限に対して余裕が数センチしかないときは、車検証の値だけで判断しないほうが確実です。

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篠原徹

キャンピングカージャーナルの車両・制度担当。前職は中古車販売の現場。いまはキャブコンで年20泊ほど走っています。キャンピングカー、トレーラー、RVパーク、法規と税を、条文と公的資料の一次情報に当たって整理します。自治体や条件で結論が変わることは、変わると書きます。