同じ300Ahのリチウムイオン電池で、家庭用エアコンの連続稼働時間が26時間15分と16時間15分に割れました。差は10時間。キャンピングカービルダーのレクビィが2026年8月27日に公表した、自社テストの結果です。
カタログの容量を横に並べても、エアコンが何時間動くかは決まらない。展示会でサブバッテリーの数字を見比べている人には、ここが効いてきます。
- 26時間15分=同社の低抵抗リチウムイオン電池(300Ah)。16時間15分=市販のキャンピングカー用リチウムイオン電池(300Ah)を同系車で使った実験
- 2020年8月に鉛バッテリー3本で行った同社の従来テストは8時間
- 条件は冷房27℃の自動運転。冷蔵庫と照明も動かした状態で計測
- 車内に人はいない。休業日の敷地で、ソーラーパネル(215W)からの補充あり
- 第三者機関の測定ではなく、レクビィ自身が実施して発表したテストです
同じ300Ahで、26時間15分と16時間15分に割れた
テスト車は日産キャラバンをベースにした断熱性の試験車。冷房を27℃の自動運転に設定し、冷蔵庫を動かして照明を点けた状態で、8月18日の午後9時から8月19日の午後11時15分頃まで動き続けました。26時間15分です。
| 電源 | 家庭用エアコンの連続稼働 |
|---|---|
| 低抵抗リチウムイオン電池 300Ah(レクビィとジェイテックが共同開発) | 26時間15分 |
| 市販のキャンピングカー用リチウムイオン電池 300Ah(同系車で実験) | 16時間15分 |
| 鉛バッテリー3本(2020年8月の従来テスト) | 8時間 |
数字の並びを見ると、読者の関心によって答えが変わります。
一晩だけ持てばいい、という話なら6年前の鉛バッテリーでも8時間に届いていました。夜9時にエアコンを入れて朝5時までです。丸一日をエアコン付きで過ごせるかどうかが問題なら、そこから先は電池と車体の作りで決まります。同じ300Ahの表示でも、16時間で止まるか26時間続くかが分かれました。
この26時間は、どんな一日の26時間か
26時間15分という数字だけを持ち帰ると、実使用の見積もりを外します。計測の条件は発表資料に明記されています。
- 場所は休業日のレクビィ ステーション(愛知県瀬戸市品野町)
- 車内に人はいない
- 8月19日22時から数回、スライドドアを開け閉めした
- ソーラーパネル(215W)から若干のバッテリー補充があった
- 周囲に日光を遮るものはない炎天下
人が乗っていないという点は、実使用との差が大きいところです。大人ひとりが車内にいれば発熱源が増え、出入りのたびに熱気が入ります。ドアの開閉が「数回」で済む前提も、家族で使う車中泊とは違う。
ソーラーからの補充も効いています。215Wのパネルが真夏の日中に発電した分は、電池の容量とは別に足されている電力です。
外気温はリリースに「気象庁のデータから」とあるだけで、具体的な数値は書かれていません。瀬戸市には気温を観測するアメダス地点がないため、近い観測点の実測値を挙げます※1。
| 観測点 | 8月18日 | 8月19日 |
|---|---|---|
| 名古屋(気象台) | 最高33.6℃・最低24.5℃ | 最高34.9℃・最低25.4℃ |
| 豊田(アメダス) | 最高34.4℃・最低22.1℃ | 最高35.2℃・最低22.8℃ |
計測を始めた18日21時の名古屋は27.4℃。翌19日は11時に33.4℃、14時に34.2℃まで上がり、明け方でも25℃台までしか下がっていません。
日中の暑さを丸ごと含んだ26時間です。エアコンが休める時間帯はほとんどありませんでした。

3,840Whを何時間で使い切るかは、電池と車体が決める
12.8Vで300Ahなら、蓄えている電気は3,840Whです。26時間15分で割ると平均146W、16時間15分なら平均236W※2。
同じ箱から同じだけの電気が同じように取り出せるなら、この差は出ません。リリースが挙げている理由は2つです。
ひとつは電池の内部抵抗。抵抗が小さいほど発熱によるロスが減り、蓄えた電気を使い切れる範囲が広がります。レクビィはこの点を、従来の同容量品と比べて蓄えた電気を余すところなく使えると説明しています。動作温度範囲はマイナス10℃から60℃、寿命は放電深度100%で16,000サイクル。エネルギー密度は264Wh/Lで、一般的なリチウムイオン電池の180Wh/Lと比較しています。
もうひとつが車体の断熱です。室内表面から、合皮の内張、断熱材(グラスウール)、遮熱材、緩衝材を重ねた多層構造。外板から入る熱が減れば、エアコンが冷やし直す回数そのものが減ります。電気を「多く持つ」側と「使わずに済ませる」側の両方が、稼働時間には効いてきます。
同社の断熱を説明するページには、自社の空調実験で22時間の稼働を実現したという記載もあります(試験日と条件の記載はありません)。8時間、16時間15分、22時間、26時間15分。同じメーカーの発表でも、試験の条件が変われば数字は動きます。稼働時間は電池の仕様ではなく、車両1台ごとの実測値だと考えたほうが実態に合っています。

展示会でビルダーに聞くべきこと
サブバッテリーの容量表記を並べても、判断材料としては足りません。聞き方を変えます。
- この構成で家庭用エアコンを何時間動かした実測がありますか
- そのときの外気温と、車内に人は乗っていましたか
- ソーラーからの補充は含まれていますか
- 断熱はどこに何を入れていますか
1つ目に実測時間の答えが返ってこないなら、その車のエアコンが何時間動くかは誰も知らない、ということになります。2つ目と3つ目は、返ってきた数字を自分の使い方に割り引くために要ります。無人で26時間なら、家族4人が出入りする夜は同じ数字になりません。
同じビルダーでも、モデルによって積む電池が違います。レクビィは低抵抗リチウムイオン電池の搭載車を車種名で公表したうえで、「プラス LIV’Nリビン」には通常版のリチウムイオン電池が載ると但し書きを添えました。カタログの「300Ahリチウム」は、同じ中身を指す言葉ではありません。 見積書に書かれた電池が何なのかは、契約前に確かめてください。
家庭用エアコンを積んだバンコンの実例は、レクビィ「MRカランタ」やナッツRV「ラディクール」で扱っています。MRカランタは今回の低抵抗電池の搭載車として名前が挙がったモデルです。
ただし、どちらの記事でも公表されているのは容量までです。その車が何時間動くのかは、まだ数字が出ていません。

電源のある場所に泊まるなら、この計算はいらない
ここまでの話は、外部電源のない場所で泊まる前提です。RVパークや道の駅の電源付き区画に泊まるなら、エアコンはコンセントから回せます。バッテリーの持ち時間ではなく、区画のアンペア数が制約になります(RVパークの電源は何アンペアか)。
電源のない場所で丸一日を過ごしたいのか、電源のある施設をつないで旅をするのか。使い方が決まれば、必要な電池の性格も決まります。
試算と実測の距離感をつかむなら、Kia PV5のV2Lで一晩のエアコンを試算した記事と読み比べてみてください。計算では出ない部分が、断熱とドアの開け閉めです。
すでに持っている車を涼しくしたいだけなら、ポータブルクーラーという別の選択肢もあります。
—
更新日:2026年9月7日
出典
- 株式会社レクビィ「キャンピングカーで家庭用エアコン、丸一日稼働。レクビィの高断熱と高い電池性能を実証」(2026年8月27日 09時40分・PR TIMES)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000115544.html
- 株式会社レクビィ 新着情報(2026年8月26日・同内容)https://recvee.jp/news/?DOC_NO=20260826114758&ACTION=DETAIL
- 株式会社レクビィ「断熱・制振・遮熱のこだわり」https://recvee.jp/01_camper/03_policy/
- 気象庁「過去の気象データ検索」名古屋(2026年8月)https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/daily_s1.php?prec_no=51&block_no=47636&year=2026&month=8&day=&view=p1
- 気象庁「過去の気象データ検索」豊田(2026年8月)https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/daily_a1.php?prec_no=51&block_no=0464&year=2026&month=8&day=&view=p1
注釈
※1 計測地の愛知県瀬戸市には、気象庁が気温を観測するアメダス地点がありません。表の値は、瀬戸市からおよそ20kmの位置にある名古屋(気象台)と豊田(アメダス)の観測値です。試験が行われた瀬戸市品野町は市の北部にあたり、当日の現地の気温はこの2地点と一致しません。
※2 3,840Whは、公表されている電圧12.8Vと定格容量300Ahからの単純計算です。平均146Wと平均236Wは、この3,840Whを公表された稼働時間で割った値で、ソーラーパネルからの補充分を含んでいません。実際の消費電力はこれより大きくなります。





