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高速道路が強風で止まる基準は10分間平均20m/s|キャンピングカーの横風

高速道路が強風で通行止めになる目安は、10分間の平均風速20m/s以上。雨量のような区間ごとの数値は決まっていません。天気予報の風速と同じ物差しなので、出発するか1日ずらすかは前夜に判断できます。

篠原徹
キャンピングカージャーナルの車両・制度担当。前職は中古車販…
公開2026.09.10
読む時間9 min

高速道路が強風で通行止めになる目安は、10分間の平均風速20m/s以上です。NEXCO西日本が公表している「異常気象等による事前通行規制基準」(令和8年8月14日現在)に、そう書かれています。
同じ資料には路線と区間ごとの雨量や震度の基準値がびっしり並んでいるのですが、風速だけは区間別の数字を持たず、表の下に一行だけ置かれています。

天気予報で見る「風速」も10分間の平均です。物差しが同じなので、前夜の予報をそのまま規制の基準に当てられる。

  • 強風の基準は「10分間の平均風速が20m/s以上を目安とし、継続または継続が予想され、必要と認められる場合」(NEXCO西日本管内※1)
  • 連続雨量と計測震度は区間ごとに数値が決まっているが、風速に区間別の数値は無い
  • 気象庁の階級表では、平均風速20m/s台で「通常の速度で運転するのが困難になる」。規制がかかるのは、乗用車でも走りにくくなった後
  • 瞬間風速は平均風速の1.5倍程度。大気の状態が不安定なときは3倍以上になる(気象庁)
  • 本州四国連絡橋には、全車を止める前に二輪車だけを止める運用がある

公表されているのは、たった一行

NEXCO西日本のよくあるご質問には、通行止めの考え方がこう書かれています。
「降雨・地震・強風(異常気象等)により災害が発生するおそれがあるため、区間毎にあらかじめ設定した規制基準値に達した時点で通行止めを実施します。」

この「区間毎」が効いているのは雨と地震です。基準表を開くと、名神の八日市IC〜竜王IC は連続雨量200mm、京都東IC〜豊中IC は280mm、九州道の八代IC〜人吉IC は430mm。区間ごとに数字が違う。計測震度も4.5以上と5.0以上の2段階です。

風速は違います。表のいちばん下に、こう一行あるだけです。
「強風については、10分間の平均風速が20m/s以上を目安とし、継続または継続が予想され、必要と認められる場合に通行止めを実施する」

つまり風については、橋の上でも内陸の平地でも、公表されている数字は同じ20m/s。そのうえで「継続または継続が予想され」「必要と認められる場合」という条件付き。20m/sを1回観測した瞬間に自動で止まる、という書き方にはなっていません。

予報の風速は、そのまま当てられる

気象庁のよくある質問に、こうあります。
「「風速(または平均風速)」は、10分間の平均風速を示します。」

規制の基準も10分間平均ですから、単位も測り方も同じ。予報で「風速20メートル」と出ていれば、それは規制の目安に届いている風です。

気象庁の階級表「風の強さと吹き方」から、車に関わる部分を抜き出すと次のとおり。

10分間の平均風速気象庁の分類「走行中の車」の欄に書かれていること
10〜15m/sやや強い風道路の吹流しの角度が水平になり、高速運転中では横風に流される感覚を受ける
15〜20m/s強い風高速運転中では、横風に流される感覚が大きくなる
20〜30m/s非常に強い風通常の速度で運転するのが困難になる
30m/s以上猛烈な風走行中のトラックが横転する

同じ表の「おおよその速さの目安」欄で、平均風速20〜25m/sの行に置かれているのが「高速道路の自動車(時速およそ90km)」。高速を走る車と同じ速さの空気が、真横から当たり続けている状態です。

見落としやすいのが瞬間風速のほうです。階級表の注記には、こう書かれています。
「風の吹き方は絶えず強弱の変動があり、瞬間風速は平均風速の1.5倍程度になることが多いですが、大気の状態が不安定な場合等は3倍以上になることがあります。」

予報が平均15m/sなら、瞬間で20m/s台の突風が混じる計算。規制はかかっていません。それでも車体が振られる風です。

20m/sで止まるころ、キャブコンはとうに振られている

高速道路の路肩や橋の上に立っている吹き流しについて、NEXCO西日本の説明はこうです。
「橋の上や平野部、トンネルの出口など風の通り道になっているところに設置されており、吹き流しを見て風の向きや強さを目で判断します。」
「風速10m/秒で吹き流しが概ね真横になびき、走行が不安定になります。」

10m/s。規制の目安の半分です。ここで既に「走行が不安定になります」と書かれている。

高速道路の橋の上。路肩の吹き流しがほぼ真横に伸び、その脇を白いキャブコンが走っている
吹き流しが真横なら平均風速10m/s前後。規制の目安の半分でこう見える

キャブコンやバスコン、トレーラーは側面積が大きく、重心も高い車です。乗用車で「流される感覚」とされる風域。背の高い車では、車線内に車体を収めておくのに気を使う場面です。

規制の20m/sは、道路会社が全車両を止めると決める線であって、背の高い車が出発を決める線ではありません。 前夜の予報で平均風速が15m/sを超える時間帯があり、その時間に橋やトンネル出口の連続する区間を走る予定なら、1日ずらすほうが確実です。20m/sの予報が出ているなら、判断に迷う余地はありません。

橋は、別の順番で閉じていく

海峡をまたぐ長大橋は、風の当たり方が本線と別ものです。本州四国連絡高速道路(JB本四高速)の「安全のためのお願い」には、こう書かれている。
「海峡部の橋上では、思いもしない突風や横風が吹くことがあります。特に、トラックが空荷のときは、重心が高く横風の影響で横転する可能性が高くなります。」
「本四高速では、強風が予想される場合、早めに全車通行止めを実施しています。」

その手前に、段階が一つ。
「なお、明石海峡大橋、大鳴門橋及び瀬戸大橋においては、強風時に『二輪車通行止め』(自動二輪車のみを対象とした通行止め)を実施することがあります。」

実際にどのくらいの頻度で起きているのか。JB本四高速が公表している通行止め実績(2026年6月8日から9月8日までの3か月間)で、強風を理由とする通行止めは1件でした。6月21日の6時30分から15時20分まで、瀬戸大橋を含む児島IC〜坂出IC で二輪車のみが8時間50分止められています。この期間、強風による全車通行止めは記録されていません。

読み方は2つあります。全車通行止めはめったに出ない。そして、全車通行止めが1件も出なかった3か月のあいだにも、二輪車が9時間近く締め出された日が1日あった。車高3mのキャブコンで瀬戸大橋を渡るのに、その日が穏やかだったわけではありません。

海峡をまたぐ長大橋の主塔と、風を受けながら渡っていく車列
長大橋は本線と別の判断で閉じる。二輪車通行止めは全車通行止めの手前に置かれた段階

通行止めの予告は、いつ、どこに出るか

台風のときは、通行止めそのものより先に「可能性」の告知が出ます。

2026年8月の台風15号では、NEXCO東日本関東支社が8月10日16時00分に、8月12日0時以降にC4 圏央道の稲敷IC〜大栄JCT(内回り・外回り)で通行止めとなる可能性がある、というお知らせを出しました(原因は雨)。実施の約32時間前です。

NEXCO中日本は、告知を始める時期を明示しています。
「当社では、高速道路への影響が予想される場合は、降雨の3日前から注意喚起の広報を、NEXCO中日本公式WEBサイトやSNS(NEXCO中日本公式X)、iHighway中日本(リアルタイム交通情報)などを通じて発信していきます。」

これは降雨についての記述です。強風の広報を何日前から始めるかは、同社の当該ページには書かれていません。台風では雨と風がほぼ同時に来るので、雨の告知がそのまま風の前触れになる。

前夜から当日朝に見る先は、次の4つ。

  • 各高速道路会社の公式サイトの「重要なお知らせ」
  • 各社の公式X。NEXCO東日本は道路防災情報の専用アカウント(@e_nexco_bousai)を案内している
  • NEXCO東日本が案内している高速道路影響情報サイト(https://ex-ssw.com/)
  • 気象庁の風の予報。数字は10分間の平均風速なので、20m/sをそのまま当てられる

なお通行止めの理由には、風と雨のほかに工事もあります。9月から12月は工事規制の季節で、秋の高速道路はSA・PAが夜に閉まるため、荒天の迂回と工事の閉鎖が重なると逃げ場が減る。連休の交通量も含めた出発時刻の組み立てはシルバーウィーク2026の渋滞予測にまとめてあります。

走り出したあとに止まったら

いちばん困るのは、高速に乗った後で通行止めがかかる場面です。NEXCO中日本は注意書きでこう書いています。
「通行止めが開始した場合、通行止め区間内のSA・PAをご利用のお客さまは通行止め解除まで移動できなくなる場合があります。」

そして解除の時刻は、事前には出ません。NEXCO西日本の回答から引くと、こうです。
「地震・雨・強風・雪・霧等の異常気象に伴う通行止めの場合は、天候が安定した後においても風倒木の除去作業や除雪作業に加え、道路が安全に走行できる状態になっているかといった確認を、警察機関と弊社双方で行う必要があり、弊社だけの判断で解除できるものではございませんので、あらかじめ、解除予定時間といったものをお知らせすることはできません。」

風が収まってから解除まで、点検と作業の時間が乗る。何時に動けるかは、閉じ込められた側からは読めません。

夜のサービスエリア。強い雨風のなか、大型区画に停まったキャブコンの室内に灯りがともっている
通行止め区間内のSA・PAに入ると、解除まで動けない時間ができる

だからこそ、荒天の日は高速に入る前に判断を終えておきます。
ゲートをくぐる前に燃料を満タンにしておくと、足止め中の暖房や換気に使える時間がまるごと変わります。SA・PAで待つ場合の線引きはサービスエリアで車中泊は禁止かで扱っています。長時間の足止めや停電を前提にした装備の考え方はキャンピングカーは動く防災シェルターに書きました。

停める場所は、風向きに対して車体の側面を向けない位置を選びます。大型車の風下は一見おだやかですが、大型車が出ていけばそこが吹きさらしに変わります。

更新日:2026年9月10日

出典

  • NEXCO西日本「異常気象等による事前通行規制基準」(令和8年8月14日現在)https://www.w-nexco.co.jp/faq/09/pdfs/02-09.pdf
  • NEXCO西日本「よくあるご質問-交通」https://www.w-nexco.co.jp/faq/09/
  • 気象庁「風の強さと吹き方」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html (階級表 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.pdf )
  • 気象庁「風について(よくある質問)」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq2.html
  • JB本四高速「安全のためのお願い」https://www.jb-honshi.co.jp/customer_index/safety/onegai/safety_onegai.html
  • JB本四高速「本州四国連絡高速道路の通行止め実績(過去3ヶ月間)」2026年9月9日現在 https://www.jb-honshi.co.jp/customer_index/traffic/pdf/tsukodome.pdf
  • NEXCO東日本 関東支社「お知らせ」令和8年8月10日16時00分発表 https://www.e-nexco.co.jp/cms_assets/emergency/2026/08/10/5bac714363e578ce92c1ebc9abf0c48d86f593ef.pdf
  • NEXCO中日本「大雨・台風接近時は、お出かけ前に最新の気象予測や道路交通情報をご確認ください」https://www.c-nexco.co.jp/topics/2463.html

注釈

※1 20m/sという数字は、NEXCO西日本が同社管内の路線について公表している基準です。他の高速道路会社が同じ資料の形で風速の基準値を公表しているかは、各社サイトで確認できませんでした。走る先の路線を管理している会社の告知を、出発前に見てください。

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キャンピングカージャーナルの車両・制度担当。前職は中古車販売の現場。いまはキャブコンで年20泊ほど走っています。キャンピングカー、トレーラー、RVパーク、法規と税を、条文と公的資料の一次情報に当たって整理します。自治体や条件で結論が変わることは、変わると書きます。