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12月のキャンプ場、午後4時半。
日が山に隠れたとたん、背中から冷えてくる。
焚き火の前は熱いのに、背中だけ寒い。
電熱ベストを1枚足したい。
でも、モバイルバッテリーで何時間もつのか、箱を見てもよくわかりません。
サンコーHEAT25SBKに、10000mAhのモバイルバッテリーを2本
- 薦めるのは、サンコーの「HEAT25SBK」。消費電力は約10W。10000mAhのモバイルバッテリー1本で、低約8時間・中約6.5時間・高約5時間とメーカーが公表しています。ダウンジャケットの下に着た場合の数字です
- バッテリーは別売りです。わたしは10000mAhを2本そろえます。温度が低い屋外でいちばん外に着ると、全部のモードで約3時間まで縮むとメーカー自身が書いているからです。公表の時間は環境温度15℃で測った数字で、冬の屋外ではそこまでもちません
- 薦めないのは、寝袋の中で着たい人。国民生活センターが集めた相談には、パジャマの上に着たらパジャマが焦げた例があります。夜の寝床は別の道具で温めます
サンコー HEAT25SBKを見る(7,818円・2026年11月8日時点)
持ち時間は、ベストよりバッテリーの容量で決まる
電熱ベストの箱に書いてある時間は、決まったバッテリーでの数字です。
バッテリーを変えれば、時間も変わります。
だから比べるときは、メーカーの公表値をWh(ワット時)に直します。
モバイルバッテリーの「mAh」は、中の電池の電圧で表した容量です。
リチウムイオン電池の公称電圧3.6Vで換算すると、10000mAhは36Wh。
マキタの電動工具用バッテリーBL1860Bは、18V・6.0Ahなので108Wh。
この数字を、公表された使用時間で割ってみました。
| ベストとバッテリー | 容量(Wh換算) | 公表の使用時間 | 平均消費電力(当サイトの計算) |
|---|---|---|---|
| サンコー HEAT25SBK+10000mAh 低 | 約36Wh | 約8時間 | 約4.5W |
| サンコー HEAT25SBK+10000mAh 中 | 約36Wh | 約6.5時間 | 約5.5W |
| サンコー HEAT25SBK+10000mAh 高 | 約36Wh | 約5時間 | 約7.2W |
| サンコー HEAT25SBK+10000mAh アウターとして屋外 | 約36Wh | 約3時間 | 約12W |
| マキタ CV202D+BL1830B(18V 3.0Ah)高 | 54Wh | 約4時間30分 | 約12W |
| マキタ CV202D+BL1860B(18V 6.0Ah)低 | 108Wh | 約35時間 | 約3.1W |
| マキタ CV202D+BL1860B(18V 6.0Ah)中 | 108Wh | 約20時間 | 約5.4W |
| マキタ CV202D+BL1860B(18V 6.0Ah)高 | 108Wh | 約10時間 | 約10.8W |
並べると、2着とも1時間に3〜12Wの範囲に収まります。
ベストの種類で大きくは変わらない。
差がつくのは、背負っているバッテリーのWhです。
マキタの「35時間」は、ベストがすごいのではありません。108Whの大きな電池を使った数字です。
サンコーの「屋外でアウターとして使うと約3時間」は、消費電力約10Wとも合います。
サンコーは、その理由を「内蔵ヒーターへの電力供給が常に最大となるため」と書いています。
約10Wで流しっぱなしなら、36Whは3時間ほどで尽きる。
上にアウターを重ね着すれば稼働時間は延びる、ともサンコーは書いています。
わたしは、この表から1つだけ覚えておきます。
「10000mAhは、寒い外で着るなら3時間。ダウンの下でも、6.5時間は15℃での値」。
冬キャンプの1泊で要るのは、夕方5時間と朝3時間
電熱ベストを実際に着る時間は、寝ているあいだではありません。
日が落ちてから寝るまでと、起きてから撤収が終わるまでです。
11〜12月の1泊を、わたしはこう見積もります。
| 時間帯 | 着ている時間 | 着方 |
|---|---|---|
| 夕方16時〜21時(設営・夕食・焚き火) | 5時間 | ダウンの下(低〜中) |
| 朝6時〜9時(朝食・撤収) | 3時間 | 撤収中は動くのでダウンを脱ぎがち(外側) |
| 合計 | 8時間 |
サンコーと10000mAhで当てはめてみる。
中の約6.5時間は、環境温度15℃で測った数字です。
12月の夕方の屋外は15℃を下回るので、これより短くなります。
夕方の5時間は、ダウンの下でも約3〜6.5時間の幅で見て、1本目が切れたら2本目に替える。
朝の3時間は、ダウンを脱ぐなら約3時間の側です。
2本目の残りで朝まで回し、足りなければ走行中に車のUSBで補充します。
これが「10000mAhを2本」の理由です。
起きていても、長く着ていれば低温やけどは起こります。
NITEは46℃で30分〜1時間を目安に挙げ、44℃以下でもおそれがあると書いています。
サンコーの中は45〜50℃です。
肌に直接着ず、インナーの上に着る。
熱いと感じたら段階を下げるか、電源を切る。
国民生活センターも、異常を感じたらすぐに使用を中止するよう書いています。
マキタのBL1860Bなら、中で約20時間。
1泊の8時間を引いても12時間残ります。
2泊目の夕方までもつ容量です。

暖房を切った車内は、公表値より短く見る
車中泊で車の暖房を切ると、車内は外気に近づいていきます。
それでも風は当たりません。
ダウンやフリースの下に着ても、冷えた車内は公表条件の15℃より低い。
寝るまでの数時間に10000mAhを1本使い、もう1本を予備に置きます。
補充は、走っているあいだに車のUSBから。
停車したまま車のUSBで充電し続けるのは、車のバッテリーを減らすのでやりません。
ポータブル電源があるなら、そこから充電します。容量の考え方は電気毛布はポータブル電源で一晩持つ?と同じです。
選ぶときに見るのは、公表時間の条件、給電の形、洗い方
使用時間が、どのバッテリー・どの着方で測られたか
時間の数字だけでは比べられません。
サンコーは「10000mAhモバイルバッテリー」「環境温度15℃でダウンジャケットのインナー」と条件まで書いていました。
マキタは、12種類のバッテリーごとに3段階の時間を表で出しています。
どちらも、手持ちの電池で何時間か逆算できる。
サンコーとマキタは、型番ごとの使用時間を測定条件つきでメーカーの資料に載せています。
国民生活センターは、電熱ウェアについて「製造元や販売元、仕様が明示された商品を購入しましょう」と書いています。
わたしも、条件つきの使用時間が読めないベストは候補から外しました。
バッテリーが別売りか、何を挿すか
2着とも、バッテリーは付いてきません。
サンコーは「USB(5V 2.0A 以上)」のモバイルバッテリー。
マキタは、18V・14.4V・10.8Vの電動工具用バッテリーと、バッテリホルダと充電器が別に要ります。
サンコーのカタログには、ケーブルの端子の形が書かれていません。
わたしは、USB-AとUSB-Cの両方の口があるモバイルバッテリーを選びます。
どちらの端子でも挿せるからです。
この記事で挙げるAnkerの「Power Bank (10000mAh, 22.5W)」は、Amazonの販売ページの3ポートモデルで、USB-Cが2つとUSB-Aが1つ。厚さは約16mmです。
サンコーの販売ページには「お手持ちのモバイルバッテリーによっては相性問題が生じる場合がございます」とあります。
Ankerとの組み合わせで動くかは、サンコーの資料に書かれていません。
マキタは、電動工具を持っている人ほど得をします。
すでにBL1860Bが2本ある家なら、ベストとバッテリホルダ(別売)を足せば108Whが2本。
持っていない人がバッテリーから買うと、ベスト16,677円とBL1860B 15,870円で32,547円。価格は2026年11月8日時点で、ここにホルダと充電器が乗ります。
家で洗えるか
キャンプで着れば、焚き火の煙のにおいが付く。
マキタは、バッテリとバッテリホルダを外せば「洗濯乾燥機が使用可能」と発表資料に書いています。
条件は「洗う場合は洗濯注意タグの内容に従って下さい」。
サンコーのカタログは、説明文が「手洗いで洗濯ができます」、洗濯表示は洗濯機の弱い洗い(液温30℃まで)です※1。
どちらも洗えます。
洗う前に本体の洗濯表示と取扱説明書で確かめる。
2着とバッテリー2つを、持ち時間と値段で並べる
価格と在庫は2026年11月8日時点のAmazonの表示です。
使用時間・重さ・温度は各メーカーの資料から引きました。
| 製品 | 給電 | 公表の使用時間 | 重さ・寸法 | 温度・段階 | 価格・在庫 |
|---|---|---|---|---|---|
![]() サンコー HEAT25SBK | USB 5V 2.0A以上(バッテリー別売) | 10000mAhで低約8時間・中約6.5時間・高約5時間(ダウンのインナー・15℃)。屋外でアウターだと約3時間 | 約360g※2・フリーサイズ(身幅48〜62cm) | 低40〜45℃・中45〜50℃・高50〜55℃ | 7,818円・通常2〜3日以内に発送 |
![]() マキタ CV202DZ(Mサイズ) | マキタ10.8V/14.4V/18Vバッテリ(バッテリ・ホルダ・充電器別売) | BL1860Bで低約35時間・中約20時間・高約10時間。BL1830Bで約17時間・約9時間30分・約4時間30分※3 | S〜4L(Mは着丈67cm・胸囲100cm) | 3段階(温度の公表なし) | 16,677円・残り3点(Lは在庫切れ) |
![]() マキタ BL1860B | 18V 6.0Ah(108Wh) | 上のCV202Dの数字 | — | — | 15,870円・入荷予定(日付の表示なし) |
![]() Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W) | 10000mAh(約36Wh換算)・USB-C×2、USB-A×1 | HEAT25SBKの公表値は10000mAhでの数字 | 厚さ約16mm | — | 3,490円・在庫あり |
2つの組み合わせを、1泊の総額で比べます。
サンコーとAnkerを2本なら、7,818円+3,490円×2で14,798円。
マキタをバッテリーから買うなら32,547円にホルダと充電器。
差は2万円近くあります。
わたしは、電動工具を持っていない人にはサンコーを薦めます。
マキタは、18Vの電池がすでに家にあり、バッテリホルダを足せる人のための選択肢です。
寝袋の中では着ない
いちばん聞かれるのが、着たまま寝ていいか。
わたしは着ません。
理由は温度と時間です。
製品評価技術基盤機構(NITE)は、低温やけどの目安をこう書いています。
「44℃では 3~4 時間、46℃では 30 分~1 時間、50℃では 2~3 分で「低温やけど」になると言われています」。
熱源に触れた部位が圧迫されていると、もっと短い時間でなる、とも。
サンコーの公表温度は、低でも40〜45℃。高は50〜55℃です。
寝袋に入って横になれば、背中のヒーターは体重で寝床に押しつけられます。
NITEが書く「圧迫」の状態です。
国民生活センターは2022年11月30日に、電熱ウェアの異常発熱について注意を出しました。
2017年4月〜2022年9月末の5年半で寄せられた相談は228件。うち7割以上がジャケットやベストでした。
相談の中には「パジャマの上に着用したところパジャマが焦げてしまった」があります。
商品の表示を調べた結果としても、「他の暖房機器の近くや布団の中など、高温になる環境では使用しない旨の記載がみられました」と書いています。
わたしは、寝袋の中もこの「布団の中」と同じ側だと読みました。
サンコーのカタログとマキタの発表資料には、時間で切れる自動OFFの記載がありません。
同じUSB式の暖房用品でも、ロゴスのヒートユニット・チェアカバーは「低温やけど対策として約60分使用すれば自動的に電源がOFF」と書いています。
この2着は、自分で切るベストです。
寝袋に入る前に、電源を切ってベストを脱ぐ。
これを毎晩の手順に。
寝床を温めるなら、湯たんぽを寝る前に入れ、足元はダウンシューズと靴下で守ります。

買わなくていい人
- 夜の寝床が寒いだけの人。 前の章のとおり、電熱ベストは寝ているあいだに着るものではありません。寝袋の見直しと湯たんぽのほうが効きます
- 電源サイトのコテージや車内で過ごす人。 1,000W以上を使える区画なら、部屋ごと温める電気ヒーターが選べます。区画の容量と延長コードの条件は電源サイトのヒーターは何Wまでに書きました
- 冬に外で泊まるのが年1〜2回の人。 サンコーとバッテリー2本で14,798円。年2泊なら1泊あたり7,399円です。朝夕だけの寒さなら、まず充電式カイロや貼るカイロを背中と腰に足し、それで足りないと分かってから買います
- マキタの電池を持っていないのに、マキタの「35時間」に惹かれた人。 35時間はBL1860B(15,870円)があっての数字です。電池まで買うなら、サンコーとモバイルバッテリーで半額以下に収まります
- 防寒着をまだそろえていない人。 サンコーの約8時間も、環境温度15℃でダウンの下に着た場合の数字です。上に着るものがないと約3時間。先に保温着を1枚、が順番です。外に出る時間が短いなら着る毛布でも足ります
洗う前と、しまう前にやること
洗う前に、バッテリーとケーブルを外します。
マキタの発表資料は、バッテリホルダも外す条件でした。
サンコーは、カタログの説明文が手洗い、洗濯表示が洗濯機の弱い洗い(30℃まで)です。
本体の洗濯表示に合わせて洗い、日陰で干します。
完全に乾くまで、電源は入れません。
しまい方にも決まりがあります。
国民生活センターの調査では、商品の表示に「折りたたまずに保管するなど、電熱線等に負荷をかけないようにする旨の記載」がありました。
同じテストでは、断線した部分が不安定に触れた状態で通電すると、そこが200℃まで上がることがあった、とあります。
わたしは、シーズンが終わったらハンガーに掛けてしまいます。
キャンプの道具箱に丸めて押し込むのは、いちばん避けたい保管です。
撤収の朝にも1つ。
濡れたまま使わないこと。
国民生活センターの表示調査でも、濡れた状態での使用を禁じる記載が見つかっています。
朝露や雨で表地が湿ったら、電源を切ってダウンの内側だけで着る。
乾くまで電源は入れません。

サンコーにモバイルバッテリー2本か、まず防寒着とカイロか
冬キャンプの夕方と朝、暖房を切った車内で寝る前の数時間。
この時間の背中を温めたい人は、サンコーのHEAT25SBKです。
10000mAhのモバイルバッテリーを2本、USB-AとUSB-Cの両方が挿せるものを用意します。
ダウンの下に着て、寝袋に入る前に切る。
マキタの18V電池が家にある人だけ、CV202DZとバッテリホルダを選びます。
冬に外で泊まるのが年1〜2回の人と、寝ているあいだを温めたい人は見送りです。
その分の予算は、ダウンと寝袋、湯たんぽへ。
サンコー HEAT25SBKの販売ページへ(7,818円・2026年11月8日時点)
Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W)の販売ページへ(3,490円・2026年11月8日時点)
出典
- サンコー株式会社「サイズ調整できる ヒーターベスト HEAT25SBK」製品カタログ(データ作成日2025年8月21日)https://www.data.thanko.jp/download/catalog/HEAT25SBK_web.pdf (2026年11月8日取得。消費電力約10W、温度、稼働時間と測定条件、アウター使用時の約3時間、USB 5V 2.0A以上、説明文の手洗いと2ページ目の洗濯表示、重量)
- 株式会社マキタ「充電式暖房ウェアシリーズを発売」(2019年10月31日)https://www.makita.co.jp/upload/news/attach/20191031.pdf (CV202Dの1充電あたりの使用時間表、バッテリホルダ・バッテリ・充電器別売、洗濯乾燥機と洗濯注意タグの条件、サイズ表)
- 独立行政法人国民生活センター「電熱ウェアの異常発熱に注意-衣服の焼損、やけどを負った事例も-」(2022年11月30日公表・2024年9月12日更新)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221130_3.html
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)ニュースリリース「就寝時の“足元”暖房にご用心!~電気あんか、カイロ、電気マットの取扱いに注意~」(2025年1月14日)https://www.nite.go.jp/data/000156554.pdf
- 株式会社ロゴスコーポレーション プレスリリース「LOGOS ヒートユニット・チェアカバー」(2022年10月23日)https://www.logos.ne.jp/storage/brandsite/news/PDF/2022_10_20_15_24_19-1023_hp.pdf
- 商品名・型番・価格・在庫・BL1860Bの電圧と容量・Ankerの搭載ポートと厚さ・サンコー販売ページの相性の注記は、Amazon.co.jpの表示(Amazon Creators APIで2026年11月8日に取得)
注釈
※1 サンコーのカタログは、説明文が「手洗いで洗濯ができます」、2ページ目の洗濯表示が「洗濯おけに30・下線1本」(液温30℃まで、洗濯機で弱い洗い)です。Amazonの販売ページの説明は「洗濯機で丸洗いが可能」。洗う前に、本体の洗濯表示と取扱説明書で確かめてください。
※2 サンコーのカタログは、仕様表で約360g、寸法図で約320gと2つの重さを載せています。本文は仕様表の約360gを使いました。
※3 マキタの資料は、使用時間を「数値は参考値です。状態や作業条件により異なります。」としています。Wh換算は、モバイルバッテリーを公称3.6V、マキタのバッテリーを表示の電圧と容量(BL1860Bは18V・6.0Ahで108Wh、BL1830Bは18V・3.0Ahで54Wh)で計算したもので、変換時の損失は含めていません。
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