Category

キャンピングカーの旅 キャンプ 車中泊ノウハウ キャンピングカー最新情報 キャンピングカーを見てみよう キャンピングカーライフ ギア・装備 道の駅・サービスエリア・RVパーク

Area

中部編 近畿編 沖縄編 関東編 北海道編 東北編

よく読まれているカテゴリ: キャンピングカーの旅キャンプ車中泊ノウハウキャンピングカー最新情報

キャンピングカーのソーラーは1日何Wh入るか|200Wは真夏がピークではない

定格200Wのソーラーパネルから1日に入るのは、東京の8月でおよそ730Wh。年間の山は8月ではなく5月です。NEDOの日射量データベースと太陽光発電協会の計算式で、6都市の月別発電量を出しました。暑いと出力が落ちる仕組みも実数で示します。

篠原徹
キャンピングカージャーナルの車両・制度担当。前職は中古車販…
公開2026.09.12
読む時間9 min
PR

本記事はアフィリエイト広告を含みます。掲載した商品・サービスの購入や申し込みによって、当サイトが報酬を得る場合があります。

屋根に載せた200Wのパネルが1日に生むのは、東京の8月でおよそ730Wh。太陽光発電協会(JPEA)の計算式とNEDOの日射量データで出した数字です。しかも年間の山は8月ではなく、5月にあります。

夏に期待したほど充電されない理由は2つ。日射量そのものが8月より5月のほうが多いこと。そこへ、パネルが熱くなると出力が下がる分が重なること。
数字で追っていきます。

200Wのパネルから1日に入るWh(6都市・月別)

キャンピングカーの屋根は水平です。住宅のように30度傾けた架台には載せません。そこで、NEDOの年間月別日射量データベース(MONSOLA-20)から水平面の月平均日射量を取り、そこへJPEAの補正係数を掛けました※1。

札幌仙台東京名古屋福岡那覇
1月308416518486365405
2月457544563590482518
3月641689698760682668
4月750789777794777724
5月857877898921881748
6月813750715754670798
7月776693774762771910
8月686635733766784826
9月574547574622595770
10月435498484549551624
11月277379422445417493
12月236347430416319418

単位はWh。定格200W・水平設置・晴雨を含む月平均での値です。地点はJPEAが表示ガイドラインの解説編で指定している各都市の3次メッシュに合わせました。

太字が年間の最大です。6都市のうち5都市で5月。那覇だけが7月でした。

年間の山は5月にある。那覇だけが例外

原因の半分は、日射量そのものにあります。東京(渋谷区メッシュ)の水平面日射量は、5月が1日あたり5.28kWh/m²。8月の4.58kWhを15%上回ります。6月は4.47kWhまで落ちます。梅雨です。

気象庁の平年値(1991〜2020年)でも同じ並びになります。東京の全天日射量は5月が1日あたり17.3MJ/m²、8月が15.8MJ/m²。観測値でも5月が上です。

那覇が7月にずれるのは、梅雨の時期が違うからです。那覇の水平面日射量は5月が4.40kWh/m²、6月が4.99kWh、7月が5.69kWh。5月から6月にかけて雨が降り、明けた7月に跳ね上がります。
沖縄で車中泊をするなら真夏がいちばん発電する。本州ではそうならない。この違いは地域の梅雨入りの差がそのまま出たものです。

東京で定格200Wのソーラーパネルが1日に発電するWhの月別グラフ。5月が最も高く8月は下がる
東京・定格200W・水平設置の1日あたり発電量(NEDO MONSOLA-20とJPEA補正係数から算出)

9月も見ておきます。東京で574Wh、8月の78%にとどまります。秋は涼しくなって効率が上がるように思えますが、水平面の日射量が8月の4.58kWhから3.59kWhへ2割以上落ちるため、合計では届きません。涼しさで取り戻せる分はせいぜい数パーセント。日射が2割減れば、そこで勝負がつきます。

25℃を超えると出力が減る。その減り方の実数

もう半分の原因が温度です。

カタログに書かれた「200W」は、日射1000W/m²、モジュール温度25℃、スペクトルAM1.5という標準試験条件(STC)での値です。ここでいう25℃はセル自体の温度を指します。外気が25℃でも、日射を浴びたセルの温度はそれよりずっと高い。

セル温度が25℃から離れるとどれだけ動くかは、各社が温度係数として公表しています。

  • パナソニックの太陽電池モジュールVBM470KJ03N(2025年5月16日発行の商品仕様書)は、最大出力の温度係数が-0.260%/℃
  • カナディアン・ソーラーのCS6.2-48TM-445は-0.29%/℃

1℃上がるごとに最大出力が0.26〜0.29%落ちる、という意味です。セル温度が65℃まで上がれば、25℃との差は40℃。-0.26%/℃なら10.4%、-0.29%/℃なら11.6%の低下になります。

屋根の上がどれくらい熱くなるかについて、パナソニックは前出の仕様書で標準使用状態の周囲温度の上限を「モジュール動作温度の98パーセンタイル値の最大値([T98]max)が70℃となる周囲温度」と定めています。年間の2%以下の時間は動作温度が70℃を超える、という前提で製品が設計されているわけです。真夏の日中に手で触れないほど熱くなるパネル。それはメーカーの想定の範囲内です。

ソーラーパネルのセル温度が上がるほど最大出力が下がることを示した図
定格は25℃での値。セル温度が上がるほど最大出力は下がる

この温度ぶんの損失を月別に数字で出しているメーカーもあります。ハンファジャパン(Qセルズ)の総合カタログ(2026年5月版)は、年間予測発電量の注記で、太陽電池モジュールの温度損失をJPEAの自主ルールに基づくとしたうえで、12月から3月は5.2%、4月と5月は7.8%、6月から9月は10.4%、10月と11月は7.8%と記載しています。

夏と冬で5ポイントの差です。パネルは、冷えているほどよく働きます。

車の屋根は水平。住宅の30度傾斜とは冬が違う

JPEAの表示ガイドラインは、カタログの年間推定発電量を真南向き・傾斜30度で書くよう定めています。住宅の屋根が前提です。キャンピングカーはここが違います。

東京の同じメッシュで、水平面と真南30度を並べます。

水平(kWh/m²・日)真南30度30度に対する水平の割合
1月2.884.7261%
5月5.285.24101%
8月4.584.7197%
12月2.394.0259%
年平均3.744.3985%

夏はほとんど変わりません。太陽が高いので、傾けても受光面積は増えないからです。差が出るのは冬で、12月の水平面は30度傾斜の59%しかありません。

キャンピングカーのソーラーが不利になるのは、夏ではなくです。冬の車中泊で電気が足りなくなる原因を、気温によるバッテリー性能の低下だけで説明するのは無理があります。そもそも入ってくる量が半分以下になっています。

キャンピングカーの屋根に水平に固定されたソーラーパネルを斜め上から見た様子
車載パネルは屋根に沿って水平に固定する。角度は付けられない

表の数字は「入りうる上限」。ここから引かれるもの

上の表は、パネルが出す側の数字です。バッテリーに貯まる量は、これより少ない。

JPEAの表示ガイドラインは、システム仕様に併記する統一文章として「発電電力は最大でも次の損失により、太陽電池容量の70~80%程度になります。」と定めています。ここでいう損失は、温度の補正係数、パワーコンディショナの損失、受光面の汚れと配線と回路の損失です。

車載では系統連系のパワーコンディショナを使わず、MPPTやPWMのチャージコントローラを通してバッテリーへ入れます※2。そのぶんの損失が別にかかります。さらに車載特有の減り方があります。

  • ルーフベントやエアコン、アンテナの影が日中どこかの時間帯でパネルに落ちる
  • 木陰や建物の陰に停めれば、その間は日射そのものが入らない
  • バッテリーが満充電に近づくと、コントローラが充電電流を絞る。発電できる余力があっても入らない

最後の1つは見落としやすいところです。晴天が2日続いた2日目は、表の数字ぶんは入りません。逆に言えば、電気をよく使う日ほどソーラーは表の数字に近づく。

何Wを積むかは、いちばん少ない月で決める

パネルの枚数は、いちばんよく発電する月ではなく、使う時期のいちばん少ない月で決めます。

リン酸鉄リチウムの12V・100Ah(公称12.8V換算で約1,280Wh)を、200Wのパネルで空から満充電にするまでの日数を、上の表から出しました。

時期・地点1日に入るWh1,280Whに届くまで3,840Wh(300Ah相当)まで
東京・5月898約1.4日約4.3日
東京・8月733約1.7日約5.2日
東京・12月430約3.0日約8.9日
札幌・12月236約5.4日約16.3日

300Ahクラスのリチウムを積んだ車両は増えていて、ナッツRVのラディクールのように300Ahと家庭用エアコンを標準装備する新型も出ています。ただし表のとおり、200Wのソーラーで300Ahを日常的に埋め戻すのは、夏でも5日がかりです。ソーラーは減った分を少しずつ戻す装置。エアコンを回す電源として数えると、計算が合いません。

エアコンや電子レンジを使う前提なら、同じ300Ahでも走行充電や外部電源を主に据えて、ソーラーは補助に回すほうが計算が合います。消費側がどれだけ持つかはキャンピングカーの家庭用エアコンは何時間動くかにまとめました。交流機器を使うなら車中泊のインバーターは120Wの壁で決まるも合わせて読んでおくと、必要な容量が絞れます。

外部電源を当てにするなら、行き先の電源容量も先に見ておきたいところ。RVパークは施設によってアンペア数が違い、RVパークの電源は何アンペアかで分布をまとめました。足りないぶんを発電機で補う想定なら、RVパークで発電機は使えるかのとおり使用可の施設は限られます。

冬に車中泊をするなら、200Wでは冷蔵庫と照明を維持するのがせいいっぱいです。パネルを増やすか、屋根の面積が足りないなら充電の経路を別に持つか。どちらを選ぶにしても、判断の材料は12月の欄の数字です。

更新日:2026年9月12日

出典

  • 太陽光発電協会「太陽光発電協会 表示ガイドライン(2026年度)」(2026年6月適用)

https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/jpea_hyouji_guideline2026.pdf (2026年9月12日閲覧)

  • 太陽光発電協会「太陽光発電協会 表示ガイドライン、解説編(2026年度)」

https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/jpea_hyouji_guideline_kaisetsu2026.pdf (2026年9月12日閲覧)

  • NEDO「日射に関するデータベース(MONSOLA-20、METPV-20)」

https://www.nedo.go.jp/seika_hyoka/ZZFF_100041.html (2026年9月12日閲覧)

  • NEDO「日射量データベース閲覧システム WEB版」

https://domessolar.infop.nedo.go.jp/appww/ (2026年9月12日閲覧)

  • NEDO「NEDO 日射量データベースの解説書 WEB版 Ver 3.0」(2021年4月)

https://www.nedo.go.jp/content/100930737.pdf (2026年9月12日閲覧)

  • 気象庁「東京 平年値(年・月ごとの値)」1991〜2020年

https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=44&block_no=47662 (2026年9月12日閲覧)

  • パナソニック「太陽電池モジュール 商品仕様書 VBM470KJ03N」2025年5月16日発行

https://jpn.faq.panasonic.com/euf/assets/images/panasonic/answer_images/es/denkoqa/23VPVsolar/J2ZA1/document/J2ZA1_109829_5.pdf (2026年9月12日閲覧)

  • カナディアン・ソーラー・ジャパン「CS6.2-48TM 445W 製品資料」

https://csisolar.co.jp/wp-content/themes/canadian_solar/pdf/CSJ_CS6.2-48TM_445W_A4_HP.pdf (2026年9月12日閲覧)

  • ハンファジャパン「Qセルズ総合カタログ」2026年5月版

https://www.q-cells.jp/wp-content/uploads/2026/05/HWJ_catalog_2605_DL.pdf (2026年9月12日閲覧)

注釈

※1 月別発電量は、NEDO MONSOLA-20の水平面月平均日射量に、JPEA表示ガイドライン(2026年度)の結晶系シリコン太陽電池の補正係数Kh(1〜3月0.90、4〜5月0.85、6〜9月0.80、10〜11月0.85、12月0.90)を掛け、定格200Wを乗じて算出しました。MONSOLA-20は2010年から2018年の全国1kmメッシュの月平均推定値です。気象庁の観測値そのものとは異なります。地点はJPEA解説編の表3が指定する3次メッシュ(札幌64414277、仙台57403629、東京53394525、名古屋52366712、福岡50303323、那覇39272554)を使いました。

※2 JPEAの計算式Esys=Σ(Kh×Kpcs×Kj×Elight)は、住宅用の系統連系システムを前提としています。Kpcsはパワーコンディショナの変換効率で、車載のDCシステムには当てはまりません。本記事の表はKhまでを掛けたモジュール側の出力であり、チャージコントローラの損失、配線損失、バッテリーの充電受け入れによる損失は含んでいません。

この記事に関連する車種一覧

広告
篠原徹

キャンピングカージャーナルの車両・制度担当。前職は中古車販売の現場。いまはキャブコンで年20泊ほど走っています。キャンピングカー、トレーラー、RVパーク、法規と税を、条文と公的資料の一次情報に当たって整理します。自治体や条件で結論が変わることは、変わると書きます。