本記事はアフィリエイト広告を含みます。掲載した商品・サービスの購入や申し込みによって、当サイトが報酬を得る場合があります。
屋根に載せた200Wのパネルが1日に生むのは、東京の8月でおよそ730Wh。太陽光発電協会(JPEA)の計算式とNEDOの日射量データで出した数字です。しかも年間の山は8月ではなく、5月にあります。
夏に期待したほど充電されない理由は2つ。日射量そのものが8月より5月のほうが多いこと。そこへ、パネルが熱くなると出力が下がる分が重なること。
数字で追っていきます。
200Wのパネルから1日に入るWh(6都市・月別)
キャンピングカーの屋根は水平です。住宅のように30度傾けた架台には載せません。そこで、NEDOの年間月別日射量データベース(MONSOLA-20)から水平面の月平均日射量を取り、そこへJPEAの補正係数を掛けました※1。
| 月 | 札幌 | 仙台 | 東京 | 名古屋 | 福岡 | 那覇 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 308 | 416 | 518 | 486 | 365 | 405 |
| 2月 | 457 | 544 | 563 | 590 | 482 | 518 |
| 3月 | 641 | 689 | 698 | 760 | 682 | 668 |
| 4月 | 750 | 789 | 777 | 794 | 777 | 724 |
| 5月 | 857 | 877 | 898 | 921 | 881 | 748 |
| 6月 | 813 | 750 | 715 | 754 | 670 | 798 |
| 7月 | 776 | 693 | 774 | 762 | 771 | 910 |
| 8月 | 686 | 635 | 733 | 766 | 784 | 826 |
| 9月 | 574 | 547 | 574 | 622 | 595 | 770 |
| 10月 | 435 | 498 | 484 | 549 | 551 | 624 |
| 11月 | 277 | 379 | 422 | 445 | 417 | 493 |
| 12月 | 236 | 347 | 430 | 416 | 319 | 418 |
単位はWh。定格200W・水平設置・晴雨を含む月平均での値です。地点はJPEAが表示ガイドラインの解説編で指定している各都市の3次メッシュに合わせました。
太字が年間の最大です。6都市のうち5都市で5月。那覇だけが7月でした。
年間の山は5月にある。那覇だけが例外
原因の半分は、日射量そのものにあります。東京(渋谷区メッシュ)の水平面日射量は、5月が1日あたり5.28kWh/m²。8月の4.58kWhを15%上回ります。6月は4.47kWhまで落ちます。梅雨です。
気象庁の平年値(1991〜2020年)でも同じ並びになります。東京の全天日射量は5月が1日あたり17.3MJ/m²、8月が15.8MJ/m²。観測値でも5月が上です。
那覇が7月にずれるのは、梅雨の時期が違うからです。那覇の水平面日射量は5月が4.40kWh/m²、6月が4.99kWh、7月が5.69kWh。5月から6月にかけて雨が降り、明けた7月に跳ね上がります。
沖縄で車中泊をするなら真夏がいちばん発電する。本州ではそうならない。この違いは地域の梅雨入りの差がそのまま出たものです。

9月も見ておきます。東京で574Wh、8月の78%にとどまります。秋は涼しくなって効率が上がるように思えますが、水平面の日射量が8月の4.58kWhから3.59kWhへ2割以上落ちるため、合計では届きません。涼しさで取り戻せる分はせいぜい数パーセント。日射が2割減れば、そこで勝負がつきます。
25℃を超えると出力が減る。その減り方の実数
もう半分の原因が温度です。
カタログに書かれた「200W」は、日射1000W/m²、モジュール温度25℃、スペクトルAM1.5という標準試験条件(STC)での値です。ここでいう25℃はセル自体の温度を指します。外気が25℃でも、日射を浴びたセルの温度はそれよりずっと高い。
セル温度が25℃から離れるとどれだけ動くかは、各社が温度係数として公表しています。
- パナソニックの太陽電池モジュールVBM470KJ03N(2025年5月16日発行の商品仕様書)は、最大出力の温度係数が-0.260%/℃
- カナディアン・ソーラーのCS6.2-48TM-445は-0.29%/℃
1℃上がるごとに最大出力が0.26〜0.29%落ちる、という意味です。セル温度が65℃まで上がれば、25℃との差は40℃。-0.26%/℃なら10.4%、-0.29%/℃なら11.6%の低下になります。
屋根の上がどれくらい熱くなるかについて、パナソニックは前出の仕様書で標準使用状態の周囲温度の上限を「モジュール動作温度の98パーセンタイル値の最大値([T98]max)が70℃となる周囲温度」と定めています。年間の2%以下の時間は動作温度が70℃を超える、という前提で製品が設計されているわけです。真夏の日中に手で触れないほど熱くなるパネル。それはメーカーの想定の範囲内です。

この温度ぶんの損失を月別に数字で出しているメーカーもあります。ハンファジャパン(Qセルズ)の総合カタログ(2026年5月版)は、年間予測発電量の注記で、太陽電池モジュールの温度損失をJPEAの自主ルールに基づくとしたうえで、12月から3月は5.2%、4月と5月は7.8%、6月から9月は10.4%、10月と11月は7.8%と記載しています。
夏と冬で5ポイントの差です。パネルは、冷えているほどよく働きます。
車の屋根は水平。住宅の30度傾斜とは冬が違う
JPEAの表示ガイドラインは、カタログの年間推定発電量を真南向き・傾斜30度で書くよう定めています。住宅の屋根が前提です。キャンピングカーはここが違います。
東京の同じメッシュで、水平面と真南30度を並べます。
| 月 | 水平(kWh/m²・日) | 真南30度 | 30度に対する水平の割合 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 2.88 | 4.72 | 61% |
| 5月 | 5.28 | 5.24 | 101% |
| 8月 | 4.58 | 4.71 | 97% |
| 12月 | 2.39 | 4.02 | 59% |
| 年平均 | 3.74 | 4.39 | 85% |
夏はほとんど変わりません。太陽が高いので、傾けても受光面積は増えないからです。差が出るのは冬で、12月の水平面は30度傾斜の59%しかありません。
キャンピングカーのソーラーが不利になるのは、夏ではなく冬です。冬の車中泊で電気が足りなくなる原因を、気温によるバッテリー性能の低下だけで説明するのは無理があります。そもそも入ってくる量が半分以下になっています。

表の数字は「入りうる上限」。ここから引かれるもの
上の表は、パネルが出す側の数字です。バッテリーに貯まる量は、これより少ない。
JPEAの表示ガイドラインは、システム仕様に併記する統一文章として「発電電力は最大でも次の損失により、太陽電池容量の70~80%程度になります。」と定めています。ここでいう損失は、温度の補正係数、パワーコンディショナの損失、受光面の汚れと配線と回路の損失です。
車載では系統連系のパワーコンディショナを使わず、MPPTやPWMのチャージコントローラを通してバッテリーへ入れます※2。そのぶんの損失が別にかかります。さらに車載特有の減り方があります。
- ルーフベントやエアコン、アンテナの影が日中どこかの時間帯でパネルに落ちる
- 木陰や建物の陰に停めれば、その間は日射そのものが入らない
- バッテリーが満充電に近づくと、コントローラが充電電流を絞る。発電できる余力があっても入らない
最後の1つは見落としやすいところです。晴天が2日続いた2日目は、表の数字ぶんは入りません。逆に言えば、電気をよく使う日ほどソーラーは表の数字に近づく。
何Wを積むかは、いちばん少ない月で決める
パネルの枚数は、いちばんよく発電する月ではなく、使う時期のいちばん少ない月で決めます。
リン酸鉄リチウムの12V・100Ah(公称12.8V換算で約1,280Wh)を、200Wのパネルで空から満充電にするまでの日数を、上の表から出しました。
| 時期・地点 | 1日に入るWh | 1,280Whに届くまで | 3,840Wh(300Ah相当)まで |
|---|---|---|---|
| 東京・5月 | 898 | 約1.4日 | 約4.3日 |
| 東京・8月 | 733 | 約1.7日 | 約5.2日 |
| 東京・12月 | 430 | 約3.0日 | 約8.9日 |
| 札幌・12月 | 236 | 約5.4日 | 約16.3日 |
300Ahクラスのリチウムを積んだ車両は増えていて、ナッツRVのラディクールのように300Ahと家庭用エアコンを標準装備する新型も出ています。ただし表のとおり、200Wのソーラーで300Ahを日常的に埋め戻すのは、夏でも5日がかりです。ソーラーは減った分を少しずつ戻す装置。エアコンを回す電源として数えると、計算が合いません。
エアコンや電子レンジを使う前提なら、同じ300Ahでも走行充電や外部電源を主に据えて、ソーラーは補助に回すほうが計算が合います。消費側がどれだけ持つかはキャンピングカーの家庭用エアコンは何時間動くかにまとめました。交流機器を使うなら車中泊のインバーターは120Wの壁で決まるも合わせて読んでおくと、必要な容量が絞れます。
外部電源を当てにするなら、行き先の電源容量も先に見ておきたいところ。RVパークは施設によってアンペア数が違い、RVパークの電源は何アンペアかで分布をまとめました。足りないぶんを発電機で補う想定なら、RVパークで発電機は使えるかのとおり使用可の施設は限られます。
冬に車中泊をするなら、200Wでは冷蔵庫と照明を維持するのがせいいっぱいです。パネルを増やすか、屋根の面積が足りないなら充電の経路を別に持つか。どちらを選ぶにしても、判断の材料は12月の欄の数字です。
—
更新日:2026年9月12日
出典
- 太陽光発電協会「太陽光発電協会 表示ガイドライン(2026年度)」(2026年6月適用)
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/jpea_hyouji_guideline2026.pdf (2026年9月12日閲覧)
- 太陽光発電協会「太陽光発電協会 表示ガイドライン、解説編(2026年度)」
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/jpea_hyouji_guideline_kaisetsu2026.pdf (2026年9月12日閲覧)
- NEDO「日射に関するデータベース(MONSOLA-20、METPV-20)」
https://www.nedo.go.jp/seika_hyoka/ZZFF_100041.html (2026年9月12日閲覧)
- NEDO「日射量データベース閲覧システム WEB版」
https://domessolar.infop.nedo.go.jp/appww/ (2026年9月12日閲覧)
- NEDO「NEDO 日射量データベースの解説書 WEB版 Ver 3.0」(2021年4月)
https://www.nedo.go.jp/content/100930737.pdf (2026年9月12日閲覧)
- 気象庁「東京 平年値(年・月ごとの値)」1991〜2020年
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=44&block_no=47662 (2026年9月12日閲覧)
- パナソニック「太陽電池モジュール 商品仕様書 VBM470KJ03N」2025年5月16日発行
https://jpn.faq.panasonic.com/euf/assets/images/panasonic/answer_images/es/denkoqa/23VPVsolar/J2ZA1/document/J2ZA1_109829_5.pdf (2026年9月12日閲覧)
- カナディアン・ソーラー・ジャパン「CS6.2-48TM 445W 製品資料」
https://csisolar.co.jp/wp-content/themes/canadian_solar/pdf/CSJ_CS6.2-48TM_445W_A4_HP.pdf (2026年9月12日閲覧)
- ハンファジャパン「Qセルズ総合カタログ」2026年5月版
https://www.q-cells.jp/wp-content/uploads/2026/05/HWJ_catalog_2605_DL.pdf (2026年9月12日閲覧)
注釈
※1 月別発電量は、NEDO MONSOLA-20の水平面月平均日射量に、JPEA表示ガイドライン(2026年度)の結晶系シリコン太陽電池の補正係数Kh(1〜3月0.90、4〜5月0.85、6〜9月0.80、10〜11月0.85、12月0.90)を掛け、定格200Wを乗じて算出しました。MONSOLA-20は2010年から2018年の全国1kmメッシュの月平均推定値です。気象庁の観測値そのものとは異なります。地点はJPEA解説編の表3が指定する3次メッシュ(札幌64414277、仙台57403629、東京53394525、名古屋52366712、福岡50303323、那覇39272554)を使いました。
※2 JPEAの計算式Esys=Σ(Kh×Kpcs×Kj×Elight)は、住宅用の系統連系システムを前提としています。Kpcsはパワーコンディショナの変換効率で、車載のDCシステムには当てはまりません。本記事の表はKhまでを掛けたモジュール側の出力であり、チャージコントローラの損失、配線損失、バッテリーの充電受け入れによる損失は含んでいません。




