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三菱デリカD:5は、現行型の全グレードがディーゼルエンジンの4WDというミニバンです。
雪山や林道へ行ける車中泊車の候補になりますが、ハイエースのようなバンとは車内の作りが違い、そのままでは大人が足を伸ばして寝る長さが取れません。
三菱の公式諸元とカタログ、ビルダー2社の公式価格をもとに、寝床の作り方、乗れる人数とナンバー、価格の積み上げ方、雪道と林道で効く装備をまとめました。価格と仕様は2026年10月12日時点の各社公式掲載によります。
- 純正の荷室長は、2人乗車にして最大1,610mm。大人用ベッドの目安1.8mに届かないので、シートのフラットモードかベッドキットで寝床を作る
- グランドモーターのベッドキットは積載物の扱いで、車は3ナンバーの乗用車のまま。走行中にベッドの上へは座れない
- 4人で寝るならポップアップルーフ。閉じた状態の車高は2,000mm未満に収まる(グランドモーター)
- 価格は、新車のG(451万円)にベッドキットで558万8,000円から。5人乗りの完成車NOCTIは604万4,500円から
純正のデリカD:5で寝られるか|荷室は最大1,610mm
デリカD:5は乗用車(3ナンバー)のミニバンで、7人乗りと8人乗りがあります。
寸法はどのグレードも同じです。
| 項目 | デリカD:5(2026年1月発売の現行型) |
|---|---|
| 全長×全幅×全高 | 4,800×1,815×1,875mm |
| 室内長×室内幅×室内高 | 2,980×1,505×1,310mm |
| 荷室長 | 1,200mm(8人乗りの5人乗車時)/1,610mm(2人乗車時・最大) |
| 最低地上高 | 185mm |
| 乗車定員 | 7名(2列目キャプテンシート)/8名(2列目6:4分割ベンチシート) |
| エンジン・駆動 | 2.2Lディーゼルターボ(4N14)・4WD・8速AT |
| 燃費・燃料タンク | WLTCモード12.9km/L・64L(軽油) |
| 車両価格(税込) | G 451万円/G-Power Package 474万6,500円/P 494万4,500円 |
数値は三菱の主要諸元とカタログ(荷室長は社内測定値)、グレード・価格ページによります(2026年10月12日確認)。
寝る長さを決めるのは荷室長です。
2列目をはね上げてスライドし、3列目もはね上げた最大の状態で1,610mm。国交省がキャンピング車に求める大人用の寝床(1人あたり長さ1.8m以上、幅0.5m以上)より190mm短く、荷室の床に寝袋を敷くだけでは大人は足を伸ばせません。
純正の状態で寝るなら、シートを倒してつなげる「フラットモード」を使います。
2列目と3列目、1列目と2列目の2通りがあり、三菱のカタログも車中泊での利用を挙げています。ただし座面と背もたれをつないだ面なので、板を渡したベッドのような平らさはありません。厚めのマットで段差をならす前提で考えてください。フラットモードは停車中だけの使い方で、走行中は使えません(三菱のカタログ注記)。
室内高1,310mmは、ハイエースの標準ルーフの荷室高(1,320〜1,335mm)とほぼ同じです※1。
車内で立って着替えることはできず、座る、寝るが中心の車と考えてください。
キャンピング仕様の作り方は3つ
デリカD:5ベースの車中泊車は、作り方で大きく3つに分かれます。
| 作り方 | 例(ビルダー) | 乗車・就寝 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| ベッドキットを積む | Dキャンパーキット(グランドモーター) | ベース車の定員のまま※2・大人2名 | キット107万8,000円〜(取り付け工賃込み・車両別) |
| 二段ベッドのキットを積む | DキャンパーZEROキット(同) | 同上 | キット185万9,000円〜(同) |
| ポップアップルーフを付ける | Dキャンパー ポップアップルーフ(同) | 最大大人4名で就寝 | 架装165万円〜(取り付け工賃・登録費用・予備検査費用込み・車両別) |
| 完成車を買う | NOCTI SL/M(加藤モーター) | 5名・大人2名 | 604万4,500円〜824万4,500円(車両込み) |
価格はグランドモーターのDキャンパー各ページ、加藤モーターのNOCTI価格表(2026年7月現在)によります。
ベッドキット|長さ214cmの寝床を荷室側に作る
グランドモーターのDキャンパーキットは、前席の後ろに長さ214cm×幅137cmのベッドを作るキットです。
シンク(給水・排水タンク各10L)、テーブル、80Aのサブバッテリー、350Wのインバーターが標準で付きます。新車、中古車、いま乗っているデリカD:5のどれにも取り付けられ、7人乗りと8人乗りの両方に対応しています。
このキットを積んでも、ナンバーは3ナンバーのままです。
グランドモーターはFAQで、キットは積載物の扱いになり、任意保険も変わらないと説明しています(乗車人数を変える構造変更をした場合は保険会社への連絡が要る)。この説明はベッドキットについてのもので、次のポップアップルーフは車高が変わるため、車検証の手続きが要ります。
その代わり、走行中にキットの上へ人は乗れません。
同じFAQで、走行中にキット部分へ乗車したり寝たりすることは法律で禁じられていると案内しています。家族で移動するときは、キットの外に残る座席の数が、その日に乗れる人数だと考えてください。

二段ベッドのDキャンパーZEROは、下段が縦214cm×横136cm(最小部102cm)、上段が縦106cm×横156cm(最小部120cm)です。
上段は大人用の目安の長さ1.8mに届かない寸法で、子どもの寝床か荷物置きとして考えるのが現実的です。下段の下には、縦1,040mm×横670mm(床面の最大値。下段ベッドの天板部分は580mm)の収納があり、高さは下段を広げた状態で325mm、二段ベッドの下までで750mm。犬用のケージを入れる使い方を同社は想定しています。
ポップアップルーフ|4人で寝るならこれ
屋根を持ち上げて上にもう一段の寝床を作るのが、ポップアップルーフです。
グランドモーターの仕様では、屋根の上のベッドが193cm×102cm、屋根の中の高さが約94cm。展開すると車内の高さは約220cmになり、立って着替えられます。屋根の上に大人2名、車内と合わせて最大大人4名で寝られるとしています。
屋根上のベッド幅102cmは、大人2人で1人あたり51cm。
寝返りの余裕は大きくないので、大人2人で上に寝るか、大人1人と子ども1人で使うかは、展示車で横になって決めたいところです。
閉じた状態の車高は2,000mm未満です。
高さ2.1m制限の立体駐車場には入りますが、デリカD:5はもともと全高1,875mmなので、高さ1.55m制限の機械式駐車場には、ポップアップルーフの有無にかかわらず入りません。
屋根を架装すると車の全高が変わるので、車検証の記載が変わる手続きを伴います。
グランドモーターの架装費165万円(税込)には、取り付け工賃に加えて登録費用と予備検査費用が含まれ、登録時の税金は別です。任意保険も、車検証が変わった後の内容で保険会社に確認してください。いま乗っているデリカD:5に付けることもでき、Dキャンパーのベッドキットとも組み合わせられます。

完成車|5人乗りのNOCTI
加藤モーター(新潟県燕市)のNOCTIは、デリカD:5のPをベースにした完成車です。
3列目シートを外し、2列目シートと組み合わせてフルフラットの寝床を作ります。乗車5名、就寝は大人2名。5名とも前向きの座席に座って移動できます。
価格はSLが604万4,500円、Mが824万4,500円(税込・2026年7月現在の価格表)。
Mには600Ahのリチウムサブバッテリー、12Vのエアコン、300Wの正弦波インバーター、外部電源の入力が標準で付き、SLにはこれらがありません。夏に車内で寝るならMか、同等の電源とクーラーを足す予算を見込んでください。グレードの細かい違いはデリカD:5ベースのNOCTIの解説にまとめています。
NOCTIのナンバー区分は、公式ページと価格表に記載がありません。
見積もりの段階で、車検証の用途と乗車定員がどうなるかを確認してください。
8ナンバーにはなるか
グランドモーターのベッドキットは、積載物として3ナンバーのまま使う作りです。
8ナンバー(キャンピング車)として登録するには、国交省の用途区分通達と構造要件を満たす設備を車に備える必要があります。主な要件は次のとおりです。
- 乗車定員の3分の1以上の大人用の寝床(1人あたり長さ1.8m以上、幅0.5m以上)。8人乗りのままなら2人分
- 10L以上の水を貯めるタンクと洗面台等、10L以上の排水タンク
- コンロ等で炊事ができ、0.3m×0.2m以上の調理台があること
- 洗面台や調理台の前に、床から1,600mm以上の高さの空間(台の上端が床から850mm以下なら1,200mm以上)。屋根を広げた状態で満たす構造も認められる
- 洗面台、調理台とそれを使う場所の床面積が合わせて0.5㎡以上
- キャンプ用の設備が床に占める面積が1㎡以上で、運転席を除く客室の床面積、荷物を積む設備の床面積、設備の面積の合計の2分の1を超えること
- 荷物を積むための設備(物品積載設備)を持たないこと
高さだけなら、デリカD:5の室内高1,310mm(カタログの最大値)は、台の上端を850mm以下にした低い台所で必要な1,200mmに数字の上では届きます。
難しいのは面積の要件です。座席を残すほど客室の床面積に対して設備の割合が下がるので、座席を多く残したまま8ナンバーにするのは難しくなります。8ナンバーで登録したい人は、デリカD:5での登録の実績があるかを、契約前にビルダーへ確認してください。
8ナンバーの車の乗車定員とシートベルトの考え方は、8ナンバーの乗車定員|対面座席と2点式ベルトで何人乗れるかで詳しく扱っています。
価格の見方|車両代に何を足すか
ベッドキットやポップアップルーフは、車両と別に架装費を払う形です。
新車のデリカD:5に付けた場合を、公式価格(税込)で積み上げると次のようになります。
| 組み合わせ | 合計(税込) | 内訳 |
|---|---|---|
| G+Dキャンパーキット | 558万8,000円〜 | 451万円+107万8,000円 |
| P+Dキャンパーキット | 602万2,500円〜 | 494万4,500円+107万8,000円 |
| G+DキャンパーZEROキット | 636万9,000円〜 | 451万円+185万9,000円 |
| G+Dキャンパーキット+ポップアップルーフ | 723万8,000円〜 | 451万円+107万8,000円+165万円 |
| NOCTI SL(Pベース) | 604万4,500円〜 | 車両込みの価格 |
| NOCTI M(Pベース) | 824万4,500円〜 | 車両込みの価格 |
いずれも登録時の税金・保険・諸費用、有料のボディカラー(5万5,000円または7万7,000円)、ナビ等のオプションは含みません。グランドモーターのキットとポップアップルーフは、出張取り付けや陸送を頼むと別に費用がかかります。
同じPベースで比べると、Dキャンパーキットの組み合わせ(602万2,500円)とNOCTI SL(604万4,500円)はほぼ同じ金額です。
違いは中身にあります。Dキャンパーはシンクとサブバッテリー、インバーターが標準で、車は3ナンバーのまま。乗れる人数は、キットを広げていない座席の数です。
NOCTIは車検証上5名が前向きの座席に乗れる完成車で、SLにはサブバッテリーやインバーターが付かず、Mにだけ付きます。
いま乗っているデリカD:5があるなら、Dキャンパーのキットとポップアップルーフは車両代なしで付けられます。
対応する年式は、ポップアップルーフが現行モデルと先代モデル。Dキャンパーキットは同社のFAQでは全年式対応と案内していますが、古い年式の車に付けるなら、取り付けできるかを先に問い合わせてください。
雪道・林道で効く装備と、注意すること
デリカD:5を選ぶ理由の多くは、この章の装備です。
現行型は全車4WDで、2026年1月9日発売の大幅改良から、4輪の駆動力と制動力を制御するS-AWCと、ECO・NORMAL・GRAVEL・SNOWの4つのドライブモード、急な下り坂で車速を一定に保つヒルディセントコントロールが付きました。
悪路の数字も公表されています。
最低地上高185mm、アプローチアングル21.0°、ランプブレークオーバーアングル16.5°、ディパーチャーアングル23.0°(三菱のカタログ)。寒冷地仕様(ヒーテッドドアミラー、サードシートヒーターダクト、スタートアップヒーター)は全車標準です。
気をつけたい点もあります。
- 標準のタイヤは225/55R18のマッド&スノー(M+S)表記のタイヤで、スタッドレスタイヤではありません。雪山へ行くなら冬用タイヤは別に用意します
- ディーゼルの排ガスを浄化する尿素SCRシステムを使うので、軽油とは別に尿素水(AdBlue)の補充が要ります
- 燃料タンクは64L。WLTCモード12.9km/Lで計算すると満タンで約825kmですが、キットや荷物を積んだ車、雪道や林道ではこれより短くなります
- 2026年1月の大幅改良より前のデリカD:5には、S-AWCと4つのドライブモードがありません。中古車にキットを付けるなら、年式で装備が変わることを頭に入れておきます
ポップアップルーフやベッドキットを付けると、屋根の上と車内後部が重くなるので、林道の傾いた路面や横風のある峠では、重い荷物を床の近くに積み、屋根の上に荷物を載せないほうが車の動きは落ち着きます。
契約前に確かめること
- 寝る人数:大人2人ならベッドキットか完成車、4人ならポップアップルーフ付き
- 乗る人数:キットを積んだ状態で使える座席がいくつ残るか。完成車は車検証の乗車定員
- ナンバー:3ナンバーのままか、構造変更で何が変わるか。ポップアップルーフは全高が変わるため、登録の手続きが要る。任意保険の扱い
- 全高:ポップアップルーフを付けた後の車高と、自宅や勤め先の駐車場の高さ制限
- 電源と冷暖房:サブバッテリーの容量、クーラーとFFヒーターを付けるならその費用
- 冬の装備:スタッドレスタイヤの費用と、外した夏タイヤの保管場所
バンをベースにした車中泊車と比べたい人は、ハイエースのキャンピングカー|ボディ4種と4WDの燃料、キャラバンのキャンピングカー|ボディ3種と架装分の見方もどうぞ。
車内で立てる高さや常設の台所がほしいならバン、普段の買い物から雪道まで1台で済ませたいならデリカD:5、という分け方がひとつの目安になります。
更新日:2026年10月12日(価格・仕様は2026年10月12日時点の各社公式掲載)
出典
- 三菱自動車「デリカD:5 主要諸元」:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/delica_d5/spec/spe_02.html
- 三菱自動車「デリカD:5 主要装備」:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/delica_d5/spec/spe_01.html
- 三菱自動車「デリカD:5 グレード・価格」:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/delica_d5/grade/
- 三菱自動車「デリカD:5 カタログ」(PDF):https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/delica_d5/pdf/delica_d5.pdf
- 三菱自動車 ニュースリリース「走行性能を進化させた新型『デリカD:5』を2026年1月9日に発売」(2025年12月18日):https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsroom/newsrelease/2025/20251218_2.html
- 国土交通省「自動車の用途等の区分について(依命通達)」4-1-3(PDF):https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/assets/pdf/youtokubun.pdf
- 国土交通省「キャンピング車」構造要件(用途区分通達4-1-3(4)の自動車・PDF):https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/PDF/kubun-3-4-80.pdf
- グランドモーター「Dキャンパー」:https://www.grandmotor.info/d-camper/
- グランドモーター「Dキャンパーキット」:https://www.grandmotor.info/d-camper/d-camper.html
- グランドモーター「Dキャンパー ZERO」:https://www.grandmotor.info/d-camper/d-camper-zero.html
- グランドモーター「Dキャンパー ポップアップルーフ」:https://www.grandmotor.info/d-camper/d-camper-pop-up-roof.html
- グランドモーター「Dキャンパー Q&A」:https://www.grandmotor.info/d-camper/qanda.html
- 加藤モーター「デリカD:5 キャンピングカーのNOCTI」:https://www.katomotor.co.jp/model/nocti/
- 加藤モーター「NOCTI 価格表・装備表」(PDF・2026年7月現在):https://www.katomotor.co.jp/wp-content/uploads/2026/07/nocti_price_equipment2026.pdf
- トヨタ「ハイエース バン 主要諸元表」(PDF・2026年6月版):https://toyota.jp/pages/contents/hiacevan/005_b_023/4.0/pdf/spec/hiacevan_spec_202606.pdf
注釈
※1 デリカD:5の室内高は乗用車の測り方による値、ハイエースの数値はバンの荷室の高さで、測る位置が同じではありません。おおよその比較として見てください。
※2 グランドモーターは、キットを積んでもナンバーは3ナンバーのままで、キットは積載物の扱いと説明しています。車検証の乗車定員は変わりませんが、走行中にキットの上へ人を乗せることはできないため、実際に座れる人数はキットの外に残る座席の数になります。





