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UNIFLAME

【単独インタビュー】UNIFLAME社キャンプ用品開発の秘話

こんにちは。むーさんです。

キャンプをやっている人なら知らない人はいないと思いますが
キャンプ用品店で見ない事はないブランド
『UNIFLAME』

筆者も焚き火台テーブルから始まり、フィールドラック、ガスランタンなど
気がつけばUNIFLAME製品に囲まれるキャンプライフとなっています。

そんな筆者の心をくすぐる
UNIFLAMEさんはいったいどんな会社なのか!を解明したく
インタビューをさせていただきました。

お伺いしたのは

山後社長と野崎さん
株式会社新越ワークス 山後社長(右側)
ユニフレーム事業部の野崎さん(左側)

UNIFLAMEブランドを立上げた背景をお教えください

むーさん
むーさん
それでは、さっそくですがUNIFLAMEブランドを立上げた背景をお教えください!

山後社長

もともとザルやだったんですね。
昔は、新越金網という会社で、僕は2代目なんです。

ただ、ザル屋を継ぐのがいやでね(笑)
東京で訪問販売の仕事をしたりしてたんですがその頃に、岩谷産業さんのカセットコンロってありますよね。
その当時、カセットコンロは成功されていたのですが、岩谷産業さんの創業者から「自分がやりたかったのはこの携帯燃料の普及」
「コンロの次にもっと何かに応用できないかな」という相談がありました。

それで隠居部屋みたいな研究室がありまして、それがね1980年頃だったかな。
そこに呼ばれて相談があったんですよ。

それがきっかけとなって、カセットボンドを使ったカセットコロン以外の物をつくる会社を24歳の時に立ち上げたんです。
その時につけた名前がUNIFLAMEだったんです。
ユニークな物をつくろう。ということだったんです。

むーさん
むーさん
社長のワクワクから作られた会社だったんですね。

山後社長

そうなんです(笑)

商品第一号としてはもうカタログには無いんだけど、ユニトーチと言って炙りバーナーみたいな商品を発売したんです。

ユニトーチ

それはもう、研究室の段階で出来上がっていて
まずはそれを発売したんです。

工業用のプロパンバーナーはあったんですが、カセットボンベを使うものは当時なかったんです。
無いものは売れるって24の若造の時は思っちゃったんです。

実はそれからしばらく売っていたんですが、キャンプ関連の商品を売り始めていたので、途中でこのトーチの販売をやめちゃったんです。

やめたとたんに寿司屋さんで炙りバーナーが流行りだして(笑)

 

むーさん
むーさん
なんとトーチがスタートだったんですね!

そして、トーチの次に発売したのが
コンパクトヒーターだったんです。

コンパクトヒーター

当時、85年だったかなー釣具屋さんで販売されていたんです。

この頃はまだ、オートキャンプなんていうものも無かったですし、登山用品店はありましたがキャンプ用品店もなかったです。

その当時のキャンプっていうのは山登りをする為にテントを張るか、海水浴行くのにテントを張るかというのが「キャンプ」だった。

今みたいに「キャンプ」を目的としたキャンプってなかったんですよね。

なのでキャンプ用品店なんて無かったので必然的に釣具屋だったんですよ。

むーさん
むーさん
確かに登山用品店か釣具屋しかなかったですね!

 

UNIFLAME山後社長

スタートはキャンプ用品を始めよう。と思ってスタートした訳じゃなくて、カセットボンベを活用しよう。ということで始めたんですね。
細々とね、これを作ってたら、ちょうどその87年8年くらいから、なんか日本でもオートキャンプが来そうだよ。
っていう事をある人から聞いて

「お前、携帯ストーブを作れるんだったらこれ作ってみろよ」
と言われて作ったのがキャンプ用品第一号の商品なんです。

それが、この2口コンロの「ツインバーナー」だったんです。

ツインバーナー

今では何度もモデルチェンジしていますが、心臓部は当時とそんなに変わっていないんですよ。

そして、ツーバーナーを作った後は、「ガスランタン」を作りました。

ガスランタン

単純にカセットボンベはもうすでに日本中に普及していて
あの頃は家庭で使うカセットコンロは年間1000万台位売れていて
カセットボンベは1億数千本って売れていたんです。

どこでも手に入る携帯燃料、燃料のインフラとして定着しつつあったんですね。
そんな時代でした。

 

UNIFLAMEブランドの背景

ユニークな炎(フレーム)を創造するという理念のもと、
1985年に生まれたUNIFLAME。
以来、日本のアウトドアメーカーとして、日本の風土・文化を
背景にしたアウトドアスタイルを作り続けています。
自然への畏敬を古くからの伝統しているこの国で、
アウトドアの楽しさを引き出す炎を絶えず燃やし続けたいと
私たちは願っています。

むーさん
むーさん
ブランドメッセージにもある『日本の風土・文化を背景にしたアウトドアスタイル』とは具体的にどのようなことを指しているのでしょうか?

 

当時オートキャンプ用品ってヨーロッパ、アメリカのライフスタイルでしたよね。
欧米のキャンプのルーツは「狩猟民族」
ハンティングに行く途中途中に仕方なく泊まる手段としてキャンプがあった。
日本人って相いれない所があるなーと思っていたんです。

ユニフレーム山後社長

僕が思っているのは
今の日本のオートキャンプ文化のルーツは「花見」だと思っているんです。

アメリカは立って作るバーベキューが主流だったが
日本人はゴザを敷いてテーブルの上で食べる文化。
そして、小さくテーブルの上で炭火焼きが出来るものなんて無かったので
今でこそ定番になっているかもですが作ったのが「ユニセラ」なんです。

そして、日本人はバーベキューと言ったら欠かせないのが
「お米」
当時、飯盒はあったんですが
ちゃんと鍋でご飯が炊けるものが無かったんです。
そこで作ったのが「ライスクッカー」なんです。

 

日本のキャンプ場は海外に比べて
閉鎖的な場所だったり広大な景色が見られるキャンプ場は少ない。
何を楽しむかって、結局の所、飲み食いなんですよ。
なので、日本の風土、食文化とともにキャンプ製品を作ってきました。

ユニフーレム社長

そういえば、ふと思ったのが
上野公園に行って、花の下にはいるけど、
下ばっかり見てみんな上の花を見てないなー(笑)って思ったんです。
日本人ってこれなんだ!って改めて思いましたよ。

そこが根底にあるんですね。
日本人が使うには日本人にあったものが必要だと思ったんです。

 

 

ユニフレームの商品開発について

むーさん
むーさん
ユニフレームの商品は非常にラインナップも豊富ですが、この開発スピード、開発の裏側をおしえてください!

ユニフレーム野崎さま

基本は販売店さんとかキャンプのイベントに参加をして直接お客さんの声を頂戴し
それをヒント作っているのが現状です。

「こういう商品があったらいいな」
「今あるこの商品のもう少しこういう風に変わればもっと良いんじゃないか」
と言ったお言葉を頂いて反映させて行くという形をとっています。

後は電話やメールでのお問い合わせでも沢山のご意見を頂戴しております。
もちろんクレームも頂いたりします。
こういった声を商品に反映してモデルチェンジやマイナーチェンジを繰り返し
より使い勝手の良い商品を開発しております。

むーさん
むーさん
なるほど!しっかりとユーザーの声を反映して改良&開発をされているんですね!!

 

社長はどの時点で商品化のGOを出されているんですか?

新越ワークス 山後社長

今ね、実はGOは出していないんです。
社員にお任せしているんです。

というのも、もうね年代がズレているので
僕、今年還暦なんですよ。

昔は自分もターゲットだったので
どんな物を作ればよいか何となく分かっていたんですが
今はね、社員に任せたというよりは
いいかどうかを聞かれても判断ができないんですよ(笑)

 

むーさん
むーさん
すごいですね!
社員さんが頼もしいですねー!!

ところで、社内に熱烈なキャンパーはいるんでしょうか?

 

もちろん好きな人間はいます。
ですが、うちは熱烈にキャンプが好きっていうような人は採用しないんですよ。

うちはキャンプ用品の他に、ザルだったり、ストーブだったりと
金属加工の製造業を行っているので
高卒、大卒の年代で
「僕、キャンプ好きなんで、キャンプ用品作ります!」って言っても
製造の土台を持っていないわけですよ。

そんなレベルではモノって作れないんです。
製造技術だったり、材料の知識、様々なテクノロジーを学ばないと
モノって作れないんですよ。

なので、ただのキャンプ好きだけでは駄目なんですよ(笑)

ユニフレーム山後社長と野崎さま

でもね
作った後、検証をしっかりしなきゃならないので
キャンプが嫌いでも駄目なんです(笑)

ほら、今、冬でもキャンプするじゃない?
キャンプが苦手だとそれはそれで続かないんですよ(笑)

こんなに商品が作られていますが、年間どのくらいのペースで
新商品などを作られているのですか?

ユニフレーム野崎さま
そうですね、その年にもよるんですが
まっさらな新商品だと10アイテムくらいかなー。
リニューアルも含めると30アイテムくらいにはなるかも知れません。

ほんと年によって様々です。

お客さまから頂戴したご意見をその年に反映出来るものもあれば
実現するのに3年を要することもあるので
毎年何アイテムというのは決めていないんです。

開発の中で、大発見、失敗なんてありますか?

失敗はいっぱいありますよ
失敗の歴史ですよ。

こんなのあるんです
茶筅(ちゃせん)

UNIFLAME茶筅

こんなの売れるわけないんですよ。

コーヒーだけじゃつまらんなー。と
洒落ですよ(笑)

ある意味遊び道具なんで、振り切らないと。面白くないなーと思って。
売れなかったので廃盤ですが(笑)

弊社の商品でコーヒーバネットというのがあるんですが
発売当初は、畳める事を当時、自分たちで気が付かなかったんですよ。

コーヒーバネット

当時カタログを作った時点では
筋交いをいれるというか、押さえつける構造だったんですよ。
そしたら、「あれ?これ畳めるじゃん」って後で気がついたんです(笑)

そういう繰り返しですよ(笑)

これ当時、ツーバーナーを販売するのに
販売店なんて無かったので
実演販売をしていたんですよ。

その実演販売をした時に
手軽に使えるよっていうのに、コーヒーを入れていたんです。

ドリップコーヒーなんで当時は
陶器のメリッタとプラスチックのカリタしか無かったですよ。

陶器は割れるし、ツーバーナーにプラスチックだとかっこよくなかったんですよ。

そう思って作り始めたんですよね。
完成までに1年半位はかかったんですよ。

なのに、最後の最後にこのザマですからね(笑)

そして、自分たちのデモ用につくってたらか数も作ってなかったですが
結果的にロングセラー商品になっています。

でもね、これもしばらくしてから気がついたんですが
ユニフレームは知らないけど、コーヒーバネットは知っている。と言われたんですよ。

そういえば、どこにもロゴを入れてなかったんです(笑)

もう当時ね、ロゴを入れるっていう概念が無かったんですよ(笑)

ツーバーナーとかガス器具には入っていたんですがね。
なので、未だにコーヒーバネットには入っていないんです(笑)

むーさん
むーさん
今でも入れていない理由はあるんですか?

いやね、もういいかって(笑)

 

山後社長

実はね、いろんな商品、ロゴが入っていないんですよ(笑)

と対談ではお話を頂きましたが
筆者としては
ブランド名を知らなくとも商品を知っている。というのは
ある意味で支持されて使われている証
本物の商品なんじゃないかと感じました。

社長は高校大学は山登りをされていて
アメリカのオートキャンプなどのキャンプシーンは様々見てきているという。

実は昔のカタログの表紙写真
アラスカのデナリ。
雄大な自然の中にヘラジカが1匹佇んでいる写真があるのだが
これは社長自ら撮影されたものだ。

ユニフレーム山後社長撮影のカタログ

 

 

 

キャンプ市場をどう見ていらっしゃいますか?

ユニフレーム社長

去年まではちょっと悲観的だったんですよ。

90年の前半ブームになった時があって、その後、急激に落ちたんですよ。
その当時はメディアが騒いでブームが起きたんです。
バブル崩壊直後なので
「安近短」で安くて近くて期間が短いという事で
キャンプが手頃なレジャーという事でもてはやされたんです。

でも実際にキャンプ場も少なかったし
何もない状態で「ウァー」っとブームになったんです。

モノはそこそこ売れたけれどもユーザーは誰も満足しなかった。

すぐ95年位にはキャンプ市場がドンと終わって
ずーっとね、底を這うような状態だった。

この7〜8年かなー少しづつ増えてきて
あの90年前半にお父さんにキャンプに連れて行ってもらった子達が
親になっている。
あの頃よりはもう少し落ち着いた形で戻ってきている。

今はインフラも整っているし、キャンプ場も増えたし
情報もしっかり取れるし。とあったんですが
1点だけ不安があったんです。

それは土日しか稼働していないかという事。

そしたら「土日はキャンプ場が予約でいっぱいだから行けない」という声が出てきた。

これはあの90年代のシーンと似ているぞと思ったんです。

土日だけじゃなくて、平日もキャンプに行ってもらわないと
この業界は駄目になるんじゃないかと言い続けてきたんです。

山後社長

でもそれを言うと
「平日は休みじゃないじゃないですか」
と言われたんで

「バカ言ってみろ!ディズニーランドは平日もいっぱいだぞ」
って言っていたんです。

という事は、キャンプはディズニーランドより楽しくないから
休みを取ってまで行かないんでしょ?
と思っていたんだけど
ここに来て、真冬にキャンプをやったりとか
それこそ平日も増えてきているので
やっと健全な伸びをしてくるのかなと感じています。

なので心配は溶けて、今はもう少し伸びてくれるかなと思っています。

ただ、あんまりブームになってほしくないんですよね

僕ら、中小零細なので一気に需要が伸びても
供給が追いつかないんですよ。

なので一番ありがたいのは静かに静かに安定して増えていくのが望ましいですね。

 

 

ズバリ、次はどんなものが来ますか?

山後社長ユニフレーム

僕はね、年寄りもキャンプに行くと思っているので
3世代キャンプですかね。

それを見越して、暖かく僕は妻とも練習を始めようと思っているんです(笑)

 

でもそれをすると
また違ったものが見えてくるかも知れないと思っています。

 

 

キャンピングカー向けの商品開発はされているんでしょうか?

山後社長

実は、一つだけ作っているんですよ。
カトーモーターさんにだけ提供しています。

キャンピングカーのガスコンロってあるじゃないですが
実は、家庭用のコンロは「ガス検」という検定を通らないとならないのですが
キャンピングカーのコンロって規制がまだないんですよ。

カトーモーターに卸している商品

カトーモーターさんに提供している商品

※カトーモーターさんで販売される商品はこちら

行政の規制って一定の数が増えて
事故の危険性が高くなっているのを規制する。
という傾向にあるのですが
逆にそこまでいかないと規制ってないんですよ。

それで、キャンピングカーの中で使う
コンロってカセット1本だと火力が足りないんで
カセットボンベを2本セットして
火力が落ちにくい集合装置を実は作っています。
カトーモーターさんにだけですが提供しています。

 

他にも、今後キヤンピングカー関連の商品は作られる予定はありますか?

ユニフレーム社長

今の所キャンピングカーに向けた商品は考えていないのですが
むしろ逆に教えてほしい位です。

キャンピングカーは色んな国にいって見てきています。
ヨーロッパの展示会やイベントなんかも時々行ったりします。

凄い世界だなーと思いますが
日本もまだかなーと感じています。

やっぱり狩猟民族じゃないとって思っていまして
それこそ、アラスカへ行った時は、
キャンピングカーに乗っていないとクマに襲われたりするので、必需品だった。

キャンピングってもともと発祥はアラスカのパイプラインを作るために作られたと
言われているんです。

未開の地じゃないですか建設工事の宿舎が作れないので
キャンピングカーでというのが始まりなんです。

オートキャンプも日本的に変化をしてきたので
キャンペーンカーもういう日本に合った形に
味付けができるのかが今後のキーになるんじゃないでしょうかね。
ここができたら、製品開発にも取り組んでみたいなと思っています。

ユニフレームさんの今後、どんな展望を考えているんでしょうか?

山後社長
会社としては化学的なものづくりに取り組んでみたいと思っています。
ものづくりって、まず手作りの職人仕事があって
機械化されてテクノロジー、工学的があるんですが
もっと科学的なアプローチをしたい
「え?そんなの出来るの?」
っていうものを作ってみたいと思っています。

それがどんなモノなのかまでは分からないですが
例えばですが、家庭用で油がはねないフライパンがあったら良くないですか?

これは分子構造と親油性、分子構造を研究すれば完全じゃなくても何か出来るかもなぁー。とか。
こういうアプローチをしたものづくりをしたいなと思っています。

2019年3月に新しいカタログが配布されますが、新商品はどんなものがありますか?

ユニフレームの商品

いくつかありますが
手のひらサイズの焚き火台がでます。
ソロキャンパーの方にも向いている商品かと思います。

薪グリルSolo

薪グリルsolo

薪グリルsolo使い方

人気の薪グリルにソロサイズが新登場。
薪を作り炎を操る。
ヘビーなゴトクを採用し小さいながら本格的な料理から焚き火まで楽しむことができる。

こちらの薪グリルsoloは税込6,500円

サイズ
約205×165×185mm(高さ)

材質
ステンレス鋼

 

むーさん
むーさん
これはソロキャンパーは一つ持っておきたいアイテムですねー。
小さ目の薪グリルは重宝しそうです!

 

むーさん
むーさん
長時間に渡りインタビューありがとうございました。
商品の開発は失敗の繰り返し、そして、利便性・実用性を考えながらもいつまでも遊び心を忘れない商品開発。
その背景には材料や工学など様々な基礎知識なくしては商品は生まれない。ということ。
とても勉強になりました。
ありがとうございました!

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