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南極 荒井朋子先生

極寒の南極大陸でキャンプをしたその先に見た宇宙。

写真提供:千葉工大 惑星探査研究センター 荒井朋子氏提供

真夏でもマイナス10℃になる極寒の世界。
どこの国にも属さない真っ白な世界。
地球上でもっとも空気の澄んだ美しい世界。

生命の存在を許さない南極大陸 内陸部でのキャンプ生活とは
どのようなものなのか?

そんな究極のキャンプ生活のことが知りたくて
今回のキャンピングカージャーナルは
千葉工業大学 惑星探査研究センター 主席研究員
荒井朋子氏にお話をうかがった。

荒井朋子
千葉工業大学 惑星探査研究センター 主席研究員
東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。1998年から2004年まで、宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構/JAXA)にて開発職に従事。JAXA退職後、国立極地研究所、東京大学総合研究博物館を経て、2009年4月より現職。2012年11月から2013年1月まで米国南極隕石探査隊に参加した経験も有する。

嵐で2週間、スコットテントの中に足止め!

荒井朋子先生

写真提供:千葉工大 惑星探査研究センター 荒井朋子氏提供

「南極では嵐がくると、ホワイトアウトという現象になり方向感覚が全くなくなるため一歩も動けないんです。だから嵐の間2週間はスコットテントの中でずっと過ごしていました。」

衝撃的な発言からインタビューは始まった。真夏でもマイナス10℃にも達する極寒の世界。真ん中のポールでテントを支える三角のピラミッド型をした南極特有の「スコットテント」の中で2週間もの長い期間嵐に足止めされて生活をする。そんな経験をしている日本人女性は数少ないであろう。

*「スコットテント」
1912年に南極点到達した後、帰途遭難し、死亡したイギリス人の南極探検家のロバート・ファルコン・スコットが使用したテントのデザインを踏襲したもの。高さ2.7m, 床面積2.4m四方で、時速200kmのカタバティック風(滑降風)にも耐えられます。

テント

写真提供:千葉工大 惑星探査研究センター 荒井朋子氏提供

「3畳ほどの空間の中でテントメイトと二人での生活。娯楽といえばDVDを見ることと、生きるために食事を摂ることだけ。外は本当に真っ白の世界で地平線の境目がわからない、前も後ろもわからない世界。周りは、クレパスだらけ。そんな中でとにかくひたすら嵐が過ぎ去るのを待つのみです。」

太古の昔に地上に落ちた隕石を探しへ南極へ

そもそも何故南極へ行ったのですか?

南極での生活

写真提供:千葉工大 惑星探査研究センター 荒井朋子氏提供
写真は、隕石を発見した場所に目印として旗を立てている荒井氏

「2012年11月から2013年1月にかけて、米国南極隕石探査隊 (ANtarctic Search for METorites: ANSMET)に日本人女性として初めて参加したんです。8週間の探査期間のうち、6週間で3か所の異なる氷河で隕石探査をしました。それぞれの氷河の移動はプロペラ機を利用し、氷河で隕石を探査する時にはスノーモービルで移動します。運転をしながら注意深く氷河を見つめ、白銀の世界にぽつんと転がっている黒い石、隕石を探していました。裸氷帯と呼ばれる、氷河が雪に覆われず氷が露出する地域から6週間で約400個の隕石を採集することに成功しました。」

南極の隕石

写真提供:千葉工大 惑星探査研究センター 荒井朋子氏提供
写真は、発見した隕石。

「南極に落下した隕石は氷に包まれて長い時間を掛け氷河を移動し、夏の間少し気温が上がるにつれて表面に浮かび上がってくるんです。隕石は大気圏通過して地上に落下する際に、表層2ミリ程度が溶けて真っ黒なガラス状になります。そのため、表面は溶けて黒光りしているので、白い雪・氷の上に黒く光る石は比較的簡単に発見することができるんですよ。」

スノーモービルはご自身で運転を?

スノーモービル

写真提供:千葉工大 惑星探査研究センター 荒井朋子氏提供

「もちろん!自分で運転をしていました。クレパスが多いのでそれに落ちないよう注意をしながら走行し隕石を探していました。広範囲を探査するためにクルー全員が一列に並びお互いを見失わない程度の距離を保ちながら進むんです。初めて参加した私はどうしても隕石を探すのに集中してしまっていつも隊列から遅れてしまっていましたが・・・毎朝8時にキャンプサイトを出発し、夕方18時頃に戻ってくる。そんな生活の繰り返しです。」

南極での生活はどのようなものですか?

「白夜なので常に明るい中での生活です。日中の時間帯は常にスノーモービルで移動をしながら隕石を探す。終わると疲れ果ててすぐにでも寝たいのですが、生きるために食事を摂らなければならないのでふらふらになりながら食事の用意。そして食べて就寝し、また起きて隕石を探す。そんな生活の繰り返しです。南極はとにかく空気が綺麗で氷の匂いしかしないんです。探査終了後、南極からニュージーランドに入ってすぐに鼻がムズムズし、街中の匂いに敏感になったことを覚えています。」

こんなキャンピングカーが南極にあれば!

今回のインタビューでは、キャンピングカーをレンタルして荒井先生にもキャンピングカーを体験してもらい感想をうかがった。
体験していただいたキャンプ場は、現在国際宇宙ステーション(ISS)に超高感度ハイビジョンカメラを設置し、長期流星観測をする「メテオ」プロジェクトという壮大なチャレンジをされている荒井先生にちなんで日本での宇宙研究が盛んな茨城県つくば市のキャンプ場「フォンテーヌの森」をチョイス。

「フォンテーヌの森」はつくば市街から10分ほどの好立地にありながら、大自然が楽しめる森の中にあり日帰りキャンプやオートサイトでのキャンプ、フィールドキャンプなどが楽しめるキャンプ場。

キャンピングカーはいかがですか?

「こんな快適な環境が南極にあれば楽だったのに!笑。
アウトドアには昔から興味はありました。キャンピングカーでこんなにも快適にアウトドアを楽しめるということは体験してみないとわからないですね!本当に楽しかったです。私も欲しくなっちゃいました!
キャンピングカーがあれば、どこにいても論文は書けるしアウトドアも楽しめる。最高のオフィスになり、最高の癒し空間にもなるんですね。」

いつか南極にも行けるキャンピングカーを作れるようにキャンピングカージャーナルはこれからも頑張っていきます!

荒井先生の最近の活動をチェックするならこちら!
千葉工業大学 惑星探査研究センター HP

荒井先生のインスタグラムには世界各国を回っている先生の素敵な写真もみれますよ!
荒井先生のインスタグラム

2018年12月8日には荒井先生が東京スカイツリーで講演会を行います!
生で先生のお話を聞ける貴重なチャンス!是非足を運んでみては?

12/8(土)東京スカイツリータウンⓇキャンパスにて講演会「ふたご座流星群とその母天体フェートンに挑む」を開催

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